2020 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う唾液腺への老化関連T細胞集積メカニズムの解析
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20K18494
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
黒澤 実愛 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 口腔疾患研究部, 研究員 (70815802)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔乾燥症 / 細胞老化 / 免疫老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドライマウスの発症機序は加齢や全身疾患、薬の副作用など多岐に渡る。加齢変化に伴う細胞老化は唾液腺における腺房細胞だけでなく、免疫細胞にも影響する。しかし、これらの加齢変化に伴う唾液腺への免疫細胞浸潤メカニズムは不明である。そのため、老齢マウスを用いて、細胞老化による唾液腺と免疫細胞の加齢変化を検討するとともに、加齢に伴うドライマウス発症のメカニズムを明らかにすることを目的とする。老齢マウスでの二次リンパ組織では自然免疫に関与する樹状細胞やマクロファージの細胞数は若齢マウスと比較して増加せず、獲得免疫であるCD4陽性T細胞及びB細胞の有意な増加が見られた。老齢マウス及びシェーグレン症候群モデル(SS)マウスの唾液腺では老化関連T (SA-T)細胞が多く集積しており、唾液腺の上皮細胞では老化マーカーであるSA-βGalの発現が増加していた。SA-T細胞ではCXCL13のリガンドであるCXCR5と、CXCL12のリガンドであるCXCR4の発現が見られ、CXCL13及びCXCL12に対する遊走応答が見られた。また、老齢マウスの唾液腺ではケモカインであるCXCL13発現が若齢マウスと比較して有意に増加していたが、CXCL12発現が増加しなかった。一方、SSマウスの唾液腺では、CXCL12発現は有意に増加したが、CXCL13発現は増加しなかった。そのため、老齢マウス及びSSマウスの唾液腺における免疫細胞の集積は、老齢マウスではCXCL13を介して、SSモデルマウスではCXCL12を介してSA-T細胞が唾液腺に集積している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
B細胞が欠損したマウスではSA-T細胞が減少することが報告されており、SA-T細胞の分化はB細胞が関与している可能性がある。また、B細胞の細胞老化に関する報告がある事から、B細胞とT細胞における細胞老化の関係を検討する必要がある。しかし、老齢マウスの唾液腺における老化したB細胞の解析が十分に進まなかった。また、シェーグレン症候群のモデルマウスであるaly/alyマウスではSA-T細胞の細胞数が増加する一方で、B細胞が減少していた。そのため、SA-T細胞の分化にB細胞が関与するか、十分に検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ⅰ)老齢マウス及びSSマウスの唾液腺において、腺房細胞の細胞老化がB細胞の分化に与える影響を検討する。 ⅱ)B細胞によるT細胞の細胞老化への影響を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加予定の学会が中止又はweb開催となり、旅費の支出が減少したため。 B細胞解析に関する物品費として使用する。
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Research Products
(6 results)