2021 Fiscal Year Annual Research Report
ANGPTL4による歯肉上皮系バリアシステム制御と創傷治癒に対する効果
Project/Area Number |
20K18503
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
原 実生 新潟大学, 医歯学総合研究科, 助教 (60848266)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ANGPTL4 / 上皮系バリアシステム / 歯牙結紮歯周炎モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
歯肉を構成する上皮細胞と線維芽細胞は、外来病原因子に対する物理的バリアとして、生体防御の最前線で機能する。上皮系バリアシステムの破綻による外来病原因子の宿主内への断続的な流入は、歯周組織の炎症を慢性化させることで歯周炎の病態形成に関与する。アンジオポエチン様因子(angiopoietin-like protein : ANGPTL)ファミリーのひとつであるANGPTL4は、血管新生能を有することに加え、上皮細胞や線維芽細胞の増殖・遊走に関わることが報告されており、炎症局所における治癒環境を整える因子として注目されている。本研究の目的は、歯周組織の上皮系細胞におけるANGPTL4の局所環境制御作用を明らかにすることで、抗歯周炎薬開発に向けての基礎的研究基盤の構築を目指すものである。 本研究は2年間の研究計画とし、ANGPTL4の上皮系バリアシステムに及ぼす影響をin vivo、in vitroの双方から検討し、歯周炎の病態形成への関与について評価することとした。1年目は申請者らがこれまでに樹立した歯牙結紮歯周炎モデルマウスを用いてANGPTL4の発現プロファイルの解析を行った。C56BL/6マウスの上顎左側第二臼歯を5-0 絹糸にて結紮することで、歯肉組織における炎症と歯槽骨破壊を誘導し、経時的なサンプリングと解析を行った。歯肉組織を採取し、歯周組織におけるANGPTL4遺伝子の発現変動を解析した。2年目はin vitroにおいて検証を行った。具体的にはヒト歯肉上皮細胞株およびヒト歯肉線維芽細胞を培養しANGPTL4の遺伝子発現、タンパク発現を確認した。また、炎症状態における発現変動を解析する目的で、歯周病原細菌由来のLPSで刺激を行い同様の解析を行った。さらに、クラッチアッセイおよび透過性試験にてANGPTL4添加による上皮系バリアシステムの維持・修復へ与える影響を検証した。
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