2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K18516
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
藤川 芳織 昭和大学, 歯学部, 助教 (60805943)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 接合上皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスやラットの歯周炎モデルでは、原因となる細菌、プラークあるいは結索糸を除去すると歯周組織は再生するとされているが、マウス歯周炎モデルにおける 歯周組織修復機序やヒトにおける修復機序との差異は明らかではない。本研究では、マウス歯周炎モデルにおける修復機序に関して、特に接合上皮に着目して、 炎症細胞動態や組織修復過程を解析し、再生後組織の構造・機能的な特性を明らかにする。
解析内容 歯周炎罹患期間と修復期間の関係、歯周組織修復過程における炎症細胞動態、各種サイトカイン、分解酵素の発現変化、再生後の歯周組織とnative な歯周組織の間の構造的および機能的な差異の有無、歯周組織が再生する場合と再生しない場合における修復機序の相違
今年度も昨年度に続き、歯周炎の基本的な修復過程を解析した。7週齢および24週齢のマウス上顎第二大臼歯の絹糸結索により歯周炎モデルを作製し、2週間あるいは4週間維持した後、歯周組織を採取し た。また、歯周炎期間の後、結索系を除去し、歯周組織の修復過程、再生の有無および再生後組織を解析した。解析方法としては、マイクロCTに よる画像解析、パラフィン包埋および凍結包埋標本の組織学的および免疫組織化学的染色による炎症細胞局在の検索、リアルタイムPCRによる遺伝子発現検索を行った。絹糸結索後1週間(PD1w)ですでに歯槽骨の有意な減少が認められ、PD2wで安定的に歯周炎状態が確立された。PD1wおよびPD2wは、それぞれ修復期間1週間および2週間で歯周組織の修復が認められたが、PD4wは修復期間4週間後も歯周組織修復の傾向が認められなかった。PD2wではいずれの群もIL-1βなどの炎症性サイトカイン発現が上昇していたが、PD2w+修復期間2週間では有意に減少していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1匹から採取できる歯周組織が微量であるため、遺伝子発現解析用には多くのマウスを使用する必要があるが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う感染防止対策により、新規動物購入の停止、飼育数削減措置、および実験器具の供給遅れなどにより実験計画が大幅に遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
組織学的染色、免疫組織化学的染色、およびリアルタイムPCRにより、歯周炎期間2、4、8週間後の歯周組織の修復過程を経時的に解析する。炎症細胞マーカー、接着タンパク、サイ トケラチン、AMTN、ODAM等の接合上皮に恒常的に発現する分子をマーカーとして修復後組織とnativeな歯周組織を比較する。
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Causes of Carryover |
昨年度から研究計画が遅延しているため、使用物品の購入や諸経費に差額が生じたため。また、学会がオンライン開催になり旅費が不要になったため。差額分は本年度実施できなかった遺伝子発現検索用試薬の購入や、マウス購入費に使用することを予定している。
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