2021 Fiscal Year Research-status Report
口腔スピロヘータの酸化ストレス応答における新規転写調節因子の機能解析
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20K18518
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山下 慶子 東京歯科大学, 歯学部, レジデント (50843538)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Treponema denticola / 酸化ストレス応答 / 転写調節因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に続き,Treponema denticola の酸化ストレス応答に関わる可能性のある遺伝子,TDE_0259,TDE_0260オペロンの機能解析を行っている。 2021年度は,TDE_0259下流に存在するTDE_0260の解析を試みた。TDE_0260をblast解析した結果,iron-sulfur cluster-binding proteinとの類似性は認められたが,どの様な機能を果たしているかは不明であった。Iron-sulfer cluster-binding proteinは、触媒としての作用と電子伝達系に関わっているものが報告されている。そこで,TDE_0260の欠損によるT. denticola の遺伝子発現変動を,網羅的に解析することを目的とし,2020年度に作出したTDE_0260欠損株のDNA マイクロアレイ解析を計画していた。しかしながら,解析用サンプルである欠損株のtotal RNA 抽出の段階でRNA の分解が進んでいることが多く,サンプル調整が難航したため,現在解析の途中となっている。 並行して,TDE_0260の酸化ストレス応答への関与について,表現型レベルでの検討を行った。酸素暴露下における,ATP 量を指数として計測したTDE_0260欠損株の生存率は,野生株よりも低かった。しかし,その差は僅かであり,T. denticola の酸化ストレス下の生存にどの程度寄与するかについては,他方面或いは他の方法を用いた更なる解析が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度中の解析終了を目標としていた,遺伝子レベルの解析が完了しておらず,表現型の解析のみにとどまったため,2021年度の進捗としては遅れている。しかし,2020年度中に2022年度の実験計画の内容を終了し,かつ,DNA マイクロアレイ解析も2022年4月現在既に実施中であることから,この研究計画全体の進捗としては概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA マイクロアレイ解析の結果および,アノテーション情報等からTDE_0260欠損株で変動の予想される遺伝子の発現量を,qRT-PCR にて詳細に解析する。並行して,TDE_0259およびTDE_0260の表現型の解析を,酸化ストレス応答に関連する項目を中心に,続けることとする。 以上の結果を,2020年度のタンパク質-遺伝子相互作用の結果と総合して,TDE_0259,TDE_0260オペロンの機能に関する知見をまとめ,論文投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
発注中の消耗品(Treponema denticola の培養に使用するウサギ血清)の納品が,新型コロナウイルスの社会的影響による運送の遅延により,通常より大幅に遅延し,2021年度内に間に合わなかったため。
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