2021 Fiscal Year Research-status Report
miRNA内包エクソソームによる歯髄炎抑制・修復促進機構の解明と臨床応用への展開
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20K18526
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
奈良 圭介 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (00844333)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | miRNA / エクソソーム / 歯髄炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歯髄炎における治癒・修復プロセスにおけるmiRNAを内包したエクソソームの役割を解明するとともに、炎症制御及び組織修復に関与するmiRNAを内包するエクソソームを直接覆髄あるいは断髄に応用し、歯髄の炎症を終息させ、治癒に導くことの可否を検討する。これまで、炎症は組織破壊にのみ加担すると考えられてきたが、近年では治癒機転のトリガーともなっていることも判明している。したがって、治癒機転を誘導する因子をスクリーニングし、その因子を有効に利用することで、効率的な治癒を誘導することが可能であると考えられる。歯髄炎において炎症と組織修復のクロストークの視点からエクソソームの放出動態や内包されるmiRNAを介した調節機序を解析した研究は本研究が初めてであり、さらに、エクソソームを利用した覆髄剤の開発は生体が生来備える組織修復機構を応用した生体為害性の低い治療法としての有用性が期待される。エクソソームを抽出する方法として、超遠心法や専用のキットを用いる方法が知られており、これまでにヒト歯髄細胞において、エクソソーム抽出キットを用いたエクソソームの抽出は成功し、典型的なエクソソームの形態をTEMで観察した。また、エクソソーム特異的なタンパク発現をWestern Blottingで確認し、エクソソーム内のmiRNA発現の解析を行った。専用キットにて抽出されたエクソソームは量が限られており、より大量に分離精製する方法について検討を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト歯髄細胞のエクソソームを超遠心法で抽出する方法を確立する。エクソソーム特異的なタンパク質のWestern Blotting、TEMでの形態・サイズ確認など、単離したエクソソームの解析を行う。また、単離したエクソソームに内包されたmiRNAの解析を行い、スクリーニングされたmiRNAのmimicをトランスフェクションすることでヒト歯髄幹細胞にmiRNAを強制発現させ、分泌されたエクソソームを単離する。miRNA内包エクソソームを適用するによる炎症抑制、硬組織形成誘導効果の解析を行い、LPS刺激に対する炎症性サイトカイン発現や炎症に関わるシグナルカスケードの抑制効果、石灰化結節形成、硬組織マーカー発現誘導効果について検討する計画である。
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