清掃困難な根管に対する半導体レーザーによる根管洗浄の殺菌清掃効果の解明

2023 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K18528
• Research Institution: Showa University
• Principal Investigator: 本郷 智之 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (80844331)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2025-03-31
• Keywords: 根管洗浄 / 半導体レーザー

Outline of Annual Research Achievements

日本歯科医学会総会での研究発表後、開大した根管に対する根管洗浄に関して、データ収集を進めている。
現時点では、半導体レーザーを用いた根管洗浄が、既存の根管洗浄法と比較して、同等もしくは効率的であるという結果は出ているが、根管洗浄の安全性、特に根尖からの根管洗浄液の溢出に関して、レーザーの設定値によっては、従来の洗浄法（特にサイドベント針を使用したシリンジ根管洗浄）より、安全性に劣る可能性が示唆されている。
ただし、半導体レーザーの設定によっては、根管洗浄液の溢出が少なくなったものもあるため、これまでのデータから、根管洗浄効率を十分に発揮し、かつ根尖周囲に傷害を起こしにくい、安全性の高いレーザーの設定値を比較検討する必要がある。
また、現時点において比較対象としている根管洗浄法は、ブラント針によるシリンジ根管洗浄、サイドベント針によるシリンジ根管洗浄、超音波洗浄、根管洗浄用のNi-Tiファイルを用いた根管洗浄の４手法であるが、これに、Er-YAGレーザーを用いた根管洗浄の５手法との比較を行い、より実際の臨床に則した比較も行いたいと考えている。
さらには、これらのデータを加えて、再度、半導体レーザーの有用性および汎用性について、比較検討を行うべく研究を進めている。
この研究が進み、半導体レーザーの根管洗浄に対する有用性が立証されれば、これまで最も有用とされてきたEr-YAGレーザーを用いた根管洗浄よりも、安価にかつ取り扱いやすい製品で、効率的な根管洗浄が可能となり、これまで保存困難とされてきた歯も保存可能となり、患者のQOL向上に大きく寄与できる研究と考えている。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

コロナ禍および、研究者の非常勤化に伴い、研究の規模の縮小は生じているが、現時点で大幅な遅れは生じていない。

Strategy for Future Research Activity

これまでに蓄積した研究データを総合し、学術大会での発表および、論文作成を鋭意進行している。

Causes of Carryover

コロナ禍の影響もあり、これまでの研究で旅費が大幅に削減できたことも一因であるが、近年の物価高に伴い、材料の仕入れを極端に減らしていたこともあり、次年度使用額が生じている。これを用いて、2024年度には、開催を再開し始めている学会での発表や、研究試料の追加購入を行い、現在の研究をより発展させていく所存である。