2020 Fiscal Year Research-status Report
UVA活性リボフラビンを用いたコラーゲン架橋による根面う蝕再石灰化療法の新規開発
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20K18533
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上村 怜央 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10823560)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 根面う蝕 / 再石灰化 / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、高齢者の歯の根の虫歯が急激に増加していることが問題となっている。申請者らはこれまでに、眼の病気の治療法の一つとして最近用いられ始めた、体内に含まれるビタミンの一種であるリボフラビンという物質と、身体に害の少ない領域の紫外線を組み合わせるという手法を歯に応用することで、歯の中のコラーゲンの網目構造を密に増やして、歯が溶けることを防ぐという事実を発見した。本研究では、既に虫歯になっている歯にこの手法を応用することに加えて、虫歯予防としてすでに成果のあるフッ素を複合的に作用させることにより、虫歯のさらなる進行を抑制し、かつ再石灰化を目指すという、新しい虫歯予防・治療法の開発を目的としている。 ヒト抜去大臼歯の歯根より象牙質試料を採取し、試験面以外をワックスにて被覆する。その後、pH5.0の脱灰溶液に3 日間浸漬し、表面を一部溶かしたものを象牙質脱灰試料として用いる。これをう蝕が発生した歯面として想定する。試料を4つのグループに分類し、そのうちの3つのグループを処理群とし、①2%フッ化ナトリウム、②5%TCP(リン酸三カルシウム)、あるいは③CPP-ACP(カゼインホスホペプチドー非晶質リン酸カルシウム複合体)の複数のう蝕予防材に、それぞれ0.1%リボフラビンを混合した溶液に1 分間浸漬し、その後1600 mW/cm2 の紫外線を10 分間照射する。これらの試料に対して脱灰溶液(0.2 M 乳酸、3.0 mM CaCl2、1.8 mM KH2PO4、pH4.5)と再石灰化溶液(0.02 M HEPES、3.0 mM CaCl2、1.8 mM KH2PO4、pH7.0)を用いて、脱灰負荷試験を行い、再石灰化を促進する。脱灰負荷試験前後の試料のμCT3次元画像より、ミネラル密度と脱灰深さを算出する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの蔓延により、所属機関への立ち入りの制限などもあり、研究活動を行う時間が激減した。また、機器の使用にも制限があり、予定していたよりもデータの採取が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
う蝕予防材料を複数の中から一つに絞り、再石灰化を促進させる最も適切な条件を特定する。その上で、象牙質がどのように構造変化を起こしているかを解析していくことが、本研究において最も重要と考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの蔓延により、研究活動を一時中断せざるを得ず、実験に支障をきたしたため。本年度に予定していた実験を次年度に合わせて行うことにより、使用する。
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