2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K18536
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡信 愛 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (00806581)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 特発性歯肉線維腫症 / NR4A1 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年11月から2021年10月まで、産前産後休業と育児休業のため、研究を実施できなかった。そのため、研究の進捗はやや遅れている。 2021年3月末までに、特発性歯肉線維腫症患者1名から同意を得て、提供を受けた歯肉について、パラフィン包埋を行い、組織切片を作製した。また、一部の歯肉は線維芽細胞を培養し、保存している。 作製した組織切片を用いてHE染色を行い、組織構成細胞の観察を行ったところ、特発性歯肉線維腫症の臨床所見に則した、歯肉上皮の肥厚と、歯肉結合組織の増生が確認された。 さらに免疫組織化学染色を行ったところ、予想していた通り、歯肉結合組織内に筋線維芽細胞の存在を示す、α-SMAの発現が観察された。このことは、特発性歯肉線維腫症の歯肉は、正常の歯肉と比較して、筋線維芽細胞によってコラーゲン線維を過剰産生しやすい状態になっていることを示唆する。 今後はさらにサンプル数を増やし、また、対照群として慢性歯周炎の組織を使用して上記の染色に加えて、NR4A1の免疫組織化学染色を行う。慢性歯周炎患者の歯肉組織はすでに獲得済みであり、速やかに実験を実施できる状況である。 さらに、歯肉組織を培養することで得られたヒト歯肉線維芽細胞を使用して、これまでの研究結果から線維化疾患において発現の低下が予想されるNR4A1と、増加が予想されるCOL1A1、PAI1の遺伝子と蛋白の発現について解析を行う。さらに、RNAシークエンスを行い、遺伝子発現の変化を幅広く解析する予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年11月から、2021年10月まで産前産後休業と育児休業をしていたため、研究を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
特発性歯肉線維腫症患者の歯肉結合組織中にα-SMAの発現を確認したことから、歯肉結合組織の構成細胞にコラーゲンを過剰発現する筋線維芽細胞が存在していると考えられる。 今後は特発性歯肉線維腫症患者において、これまでの研究結果から線維化疾患において発現の低下が予想されるNR4A1と、増加が予想されるCOL1A1、PAI1の遺伝子と蛋白の発現について解析を行う。 また、特発性歯肉線維腫症患者は局所に歯肉炎を併発していることから、対照群として、特発性歯肉線維腫症ではない慢性歯周炎患者の歯周炎罹患歯肉を用いて、上記遺伝子、および蛋白発現の比較検討を行う予定としている。 さらに、歯肉組織を培養することで得られたヒト歯肉線維芽細胞を使用して、RNAシークエンスを行い、幅広く遺伝子発現の変化について解析する予定としている。 研究と育児との両立を図るため、広島大学研究支援員制度を利用し、採択されている。研究支援員の協力を受け、さらに研究の遂行を加速させる。
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Causes of Carryover |
産前産後休業、育児休業のため、研究を実施できなかったため、次年度使用額(201,814円が生じた。 使用計画としては、既に獲得している歯肉組織以外に、サンプル数を増やすため、積極的に新規患者の同意取得を目指し、歯肉の線維化に関与する遺伝子、および蛋白発現についての解析を行うための費用に充てる予定である。
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