2022 Fiscal Year Research-status Report
歯周病原細菌特異的CAR導入Treg細胞を用いた関節リウマチ抑制効果の検討
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20K18537
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
濱本 結太 広島大学, 病院(歯), 助教 (00848476)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PAD / ACPA / シトルリン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ(RA)はシトルリン化したタンパク質に対する自己抗体(ACPA)に関連した、関節の骨破壊を伴う自己免疫疾患である。たんぱくのシトルリン化に関わる酵素として、peptidylarginine deiminase(PAD)がある。PADは生体内の多くの組織に発現しているほか、代表的な歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis(Pg)がPADを有する唯一の細菌として知られており、Pg感染を伴う歯周病とRAとの関連が示唆されている。また喫煙などの環境因子も組織のシトルリン化を引き起こし、RA発症の先立ったACPA産生の足場となっていることが報告されている。そこで、RAモデルマウスであるSKGマウスを用いて、PgがもつPADが関節炎発症にどのように影響しているか、また、ACPA産生の足場となっている可能性を明らかにすることを目的として研究を行った。 具体的には、PADをもつワイルドタイプのPg(WT)とPADをノックアウトしたPg(⊿PAD)をSKGマウスに感染させ、それぞれの群で関節炎の程度、歯周炎症の程度、各組織におけるシトルリン化たんぱくの量、血清中のACPAの量を比較検討した。その結果、WT群で増悪した関節炎や歯周炎は、⊿PAD群ではマイルドに抑制された。更に歯周組織、関節組織、腸管組織中のシトルリン化蛋白量もWT群で上昇し、⊿PAD群では上昇を認めなかった。血清中のACPA量も同様の結果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにPg感染に伴う腸内細菌叢の変化と腸内の炎症性変化が関節リウマチ悪化に影響している可能性を示した。 更に、PgがもつPADが各組織でタンパク質のシトルリン化を促し、関節リウマチの原因となる自己抗体ACPA産生の足場となっている可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
各組織におけるPADの活性を、PADI遺伝子の発現量によって分析する。 また、異なる線毛タイプのPgを用いて同実験を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延防止措置等により予定していた研究が一部遅れた。 感染症分類の変更に伴い、次年度は問題なく使用予定としている。 また、R5年度より請求している若手研究は糖尿病と歯周炎に関連する臨床研究・基礎研究を中心としており、重複することなく使用可能と考える。
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