2020 Fiscal Year Research-status Report
ナノハイドロキシアパタイト含有レジンを用いた新規接着性直接覆髄材の創製
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20K18538
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 晋一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (30778866)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 4-META/MMA-TBBレジン / nano hydroxyapatite / 歯髄幹細胞 / 修復象牙質 / 直接覆髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科用接着性レジン材料である4-META/MMA-TBBレジン (SB: Super-bond)にナノハイドロキシアパタイト (naHAp)を質量比で10%, 30%, 50%含有させたnaHAp/SBを作製した。まず、その材料特性を調べるために引張強さを測定した。10%および30% naHAp/SBはSBと同等の引張強さを示したが、50% naHAp/SBの引張強さは他の試験群と比較して有意に低下した。また、10%および30% naHAp/SBはヒト歯髄幹細胞(DPSCs)に対して良好な細胞親和性を示したが、50% naHAp/SBディスク上で培養したDPSCsに関しては、他試験群と比較して増殖細胞数が低下していた。さらに、象牙芽細胞分化に及ぼす影響について検討した。30% naHAp/SBディスク上で培養したDPSCsにおいて、象牙質関連因子であるDSPP,DMP1の遺伝子ならびにタンパク発現が他の試験群と比較して有意に上昇しており、石灰化の亢進も認められた。以上の結果から、30% naHAp/SBがDPSCsの象牙芽細胞様分化を促進する可能性が示唆された。さらに、30% naHAp/SBを直接覆髄材としてラットの露髄面に応用した結果、象牙細管構造を有する修復象牙質形成による露髄面の封鎖が認められた。これまでの結果から、30% naHAp/SBは新規直接覆髄材として応用できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに作製したnaHAp/SBの細胞特性ならびにDPSCsに及ぼす影響についての解析が完了し、naHApの至適濃度を決定することができた。またラットを用いた露髄モデルにおいて30% naHAp/SBが修復象牙質形成促進効果を示したことから、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は30% naHAp/SBがDPSCsの象牙芽細胞様分化を促進する細胞内メカニズムを明らかにする。naHApに含まれるカルシウム(Ca)が像が芽細胞様分化誘導および修復象牙質形成促進に関与している可能性が考えられるため、イオンチャネルもしくはカルシウム感知受容体に着目して検討を進めていく予定である。その後、う蝕原性細菌を用いた新たな動物モデルにおける修復象牙質形成促進効果についても検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
年度前半はコロナ禍における研究活動の制限に伴い、思ったような研究活動が遂行できなかったため差額が生じたと考えられる。現在はアカデミックな活動制限も緩和されてきたので、実験課題遂行に努めていく所存である。また、2021年度は学会発表、英文校正および論文投稿も行う予定であるので、そちらの方に投じる予算も考慮する必要がある。
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