2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K18542
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山田 理 昭和大学, 歯学部, 助教 (50806156)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 青色励起光 / 赤色励起蛍光 / Storeptococcus mutans |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】 予後の良いう蝕治療のためには、う蝕罹患歯質の過不足ない除去が必須である。 我々はこれまでに405nm の青色励起光の照射によって、う蝕罹患歯質が630nm の赤色励起蛍光を発することを見出すとともに、励起蛍光を発する微小区間内にStreptococcus mutans (S. mutans ) が必ず存在することをリアルタイムPCRによって確認し、報告してきた(Yamada M., et al)。本研究の目的はS. mutans およびその他のう蝕関連細菌の発光物質産生のプロセスやメカニズムを解明してう蝕罹患歯質を明確に識別する方法を確立することである。そのため、各う蝕関連細菌を摂取した0.5%スクロース含有BHI液体培地に浸漬させ人工う蝕象牙質の形成を行った。この人工う蝕の形成が成功したかの評価として、細菌の付着と象牙質の形態の変化を観察するため、電子顕微鏡を使用した。 【結果】 う蝕に罹患していないヒト抜去大臼歯をダイアモンドバンドソウにて切断し、滅菌した試片にS. mutansを培養した培養液に浸漬し、歯質へS. mutans を付着させ人工う蝕を形成した。その後、試料作成を行い、電子顕微鏡にて細菌の構造を確認した。 その結果、歯質へのS. mutans の付着が認められ、連鎖球菌の構造を確認することができた。さらに歯質へ青色励起光を照射したところ、赤色励起蛍光の発現を認めた。S.mutansのコロニーに青色励起光を照射しても赤色励起蛍光の発現はみとめられないことから、今回の結果が赤色励起蛍光の発現メカニズムを解明する一助となった可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で研究室への出入りに制限がある時期があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
①使用する細菌それぞれに対して適した培養方法を用いて培養環境を整え、培養を続ける。 ②(ⅰ)細菌を摂取した0.5%スクロース含有BHI液体培地に、唾液成分を取り込むことによって形成された人工う蝕象牙質に青色励起光を照射し、赤色励起蛍光の発現を観察する。(ⅱ) 細菌を摂取した0.5%スクロース含有BHI液体培地に血液組織や金属イオンを取り込み形成された人工う蝕象牙質に青色励起光を照射し、赤色励起蛍光の発現を観察する。(ⅲ) 細菌を摂取した0.5%スクロース含有BHI液体培地に血液組織や金属イオン、唾液成分を取り込み、形成された人工う蝕象牙質に青色励起光を照射し、赤色励起蛍光の発現を観察する。 ③全ての試片に対して蛍光スペクトルを計測する。 ④実際の口腔内で赤色励起蛍光を発現したう蝕象牙質から軟化象牙質を鋭匙で抽出し、赤色励起蛍光を発現した人工う蝕象牙質を形成した細菌と同じ種類の細菌が存在しているか次世代シーケンサーを用いて解析する。 ⑤得られた結果から、唾液成分の存在の有無や血液組織・金属イオンの存在の有無が蛍光物質を産生する条件に関与しているのかを検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で学会参加がWeb開催となったため、旅費の申請が行われなかったことや、消耗品や細菌株の購入が行われなかったため、当該助成金が生じた。翌年度分新たに消耗品や細菌株、シーケンサー等の検査の費用として使用する予定。
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