2020 Fiscal Year Research-status Report
歯周病原性バイオフィルム形成におけるカプノサイトファーガ属菌の細菌運搬機構の役割
Project/Area Number |
20K18545
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
喜田 大智 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70755032)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Capnocytophaga ochracea / 細菌運動 / IX型分泌機構 / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Capnocytophaga ochracea はデンタルプラーク中に認められる菌で、滑走能を有する。C. gingivalis は、Fusobacterium nucleatum などの非運動性菌を「貨物車」の様に運ぶ。これには、滑走運動関連タンパク質SprB など、IX 型分泌機構(T9SS)により菌体表層に分泌されるタンパク質が関与するとされている。Capnocytophaga 属菌は、これにより歯周病原性バイオフィルムの形成範囲を広げている可能性がある。しかし、この動きがC. ochracea でみられるかは不明である。 本研究はC. ochracea に他の口腔内細菌を付着させた際の動きならびにそのメカニズムを明らかにすること、その動きが歯周病原性バイオフィルム形成に与える影響を確認することを目的とした。 2020年度は、C. ochracea T9SS が分泌するタンパク質の同定を行うために、まず、C. ochracea 野生株(WT)、T9SS をコードする遺伝子のひとつであるgldK の欠失株(ΔgldK)において、上清に存在するタンパク質を抽出した。各株の上清中のタンパク質抽出は、まず本培養液を6,000 g、4℃で30分遠心し、上澄み液を回収した。その上澄み液を0.22μm フィルターに通し、最終的に使用する上清を回収した。続けて、ラベルフリーによるプロテオーム解析を進めた。また、C. ochracea のガラス平面上での動きを暗視野顕微鏡で観察するのに適当な条件を確認した。1視野内の大部分の野生株の動きは,顕微鏡上の温度を37℃に保つことで観察できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度予定していたラベルフリー定量プロテオーム解析が計画通りには完了しなかったため。また、そのデータが出たうえで行う予定であったC. ochracea T9SS 分泌タンパク質のリコンビナントタンパク質の作製が行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度完了予定であったラベルフリー定量プロテオーム解析、C. ochracea T9SS 分泌タンパク質のリコンビナントタンパク質の作製を行う。そのリコンビナントタンパク質を抗原として、抗C. ochracea T9SS 分泌タンパク質抗体を作製する。リコンビナントタンパク質が計画通り作製できなかった場合、ペプチド抗体の作製を専門業者に委託する。これに続き、C. ochracea WT においてT9SS 分泌タンパク質がT9SS によって菌体内から菌体表層、上清へ分泌されるまでの動きをウエスタンブロットで確認する。同様にΔgldK、SprB をコードする遺伝子 sprB の欠失株(ΔsprB)でも確認する。
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Causes of Carryover |
2020年度予定していたラベルフリー定量プロテオーム解析が計画通りには完了しなかったため。また、そのデータが出たうえで行う予定であったC. ochracea T9SS 分泌タンパク質のリコンビナントタンパク質の作成が行えなかったため。
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