2021 Fiscal Year Research-status Report
歯周病原性バイオフィルム形成におけるカプノサイトファーガ属菌の細菌運搬機構の役割
Project/Area Number |
20K18545
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
喜田 大智 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70755032)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Capnocytophaga ochracea / 細菌運動 / IX型分泌機構 / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Capnocytophaga ochracea はデンタルプラーク中に存在し、滑走能を有する細菌である。 C. gingivalis は、Fusobacterium nucleatum などの非運動性菌を「貨物車」の様に運ぶ。これには、滑走運動関連タンパク質SprB など、IX 型分泌機構(T9SS)により菌体表層に分泌されるタンパク質が関与すると考えられている。Capnocytophaga 属菌は、これによりデンタルプラークの形成範囲を広げている可能性がある。しかし、この動きがC. ochracea でみられるかは不明である。 本研究はC. ochracea に他の口腔内細菌を付着させた際の動きならびにそのメカニズムを明らかにすること、その動きが歯周病原性バイオフィルム形成に与える影響を確認することを目的とした。 2021年度は、2020年度に引き続き、C. ochracea T9SS が分泌するタンパク質の同定を行うために、C. ochracea 野生株、T9SS をコードする遺伝子のひとつであるgldK の欠失株(ΔgldK)の培養上清中のタンパク質を用い、ラベルフリーによるプロテオーム解析を行った。その結果、バイオインフォマティクス解析によりT9SS を介して細胞外へ分泌されると推測されるCoch_1586 が同定された。さらに、C. ochracea における本タンパク質の細胞内外での局在を確認するために、抗 Coch_1586 抗体の作製を外部へ委託した。 本年度の研究成果とその意義は、C. ochracea のT9SS により細胞外へ分泌されるタンパク質をプロテオーム解析により初めて観測したことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラベルフリー定量プロテオーム解析の完了に時間がかかり、その後の抗 Coch_1586 抗体の作製が本年度中に完了しなかったため。その結果として、Coch_1586 の細胞内外での局在をウエスタンブロット等で確認できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
抗 Coch_1586 抗体ができ次第、Coch_1586 の細胞内外での局在をウエスタンブロット等で確認する。結果によっては SprB とともに非運動性菌の運搬に関与するか確認する。そのために、欠失株、抗体等を用い、C. ochracea に他の口腔内細菌を付着させた際の動きを顕微鏡下で観察する。
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Causes of Carryover |
ラベルフリー定量プロテオーム解析の完了に時間がかかり、その後の抗 Coch_1586 抗体の作製が本年度中に完了しなかったため。その結果として、Coch_1586 の細胞内外での局在をウエスタンブロットで確認するところまで研究をすすめることができず、関連する器具ならびに消耗品を購入しなかったため。抗 Coch_1586 抗体ができ次第、Coch_1586 の細胞内外での局在を確認するための器具、消耗品の購入に研究費を使用する。また、C. ochracea の非運動性菌の運搬を確認するために複数の菌を染め分ける必要があり、それに用いる消耗品の購入等に用いる。
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