2020 Fiscal Year Research-status Report
トモシンセシスX線撮影法を用いた硬組織病変に対する臨床診断の確立
Project/Area Number |
20K18547
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
杉原 俊太郎 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助手 (40738944)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トモシンセシス法 / パノラマX線撮影 / 臨床診断 / 歯周炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は歯科分野でトモシンセシス法を用いて歯科疾患の診断への応用を確立することを目的としている。トモシンセシス法とは1回の撮影で数十枚の連続断層画像が得られる画像技術で,この多数の画像を再構成し任意の位置で良質な画像を作成できることから一般の撮影検査では描出困難な病変などを明瞭に観察できる。しかし、歯科領域では画像診断にトモシンセシス法を活用する例が少ないのが現状である。歯科における画像診断でよく用いられるパノラマX線写真では、頸椎などによる障害陰影が発生することで歯槽骨、歯牙の状態がわかりにくい場合があり、また撮影者の技術量で画像の質に差が生じる等,種々の問題点が挙げられる。そこで、本研究ではトモシンセシス法を用いた画像工学的解析手法に着目し、歯周病、う蝕、根尖病巣などの歯科診断における同手法の有用性を明らかにすることである。具体的には①トモシンセシス法を用いた画像の画質評価における従来法に対する有用性、②トモシンセシス法を用いた画像の歯科疾患診断における正確性の評価の2点を明らかにしようと考えた。 令和2年度はトモシンセシス法と従来法との画質評価の比較を主観評価と客観評価を用いて行った。主観評価では歯科X線画像における特徴的所見を5段階評価を用いて各種画像を比較、評価を行った。また、客観評価では画像の鮮鋭度を数値化し各画像を解析、比較を行った。それぞれの評価の比較においては統計分析を用いて比較評価を行った。結果としてはトモシンセシス法で画像を補正することで従来法よりも良好な画質が得られることが示唆される内容であった。この研究内容に関し論文を執筆し、「トモシンセシス法を用いたパノラマX線画像における歯周組織所見の主観的および物理学的画質評価」の題名で日本歯科保存学雑誌第63巻第5号に原著論文として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書における令和2年度の予定は正常顎模型に各種X線撮影を行い撮影画像の比較、検討を行うことであった。研究計画調書の内容通りに研究を行う事ができた。この結果、トモシンセシス法を用いた画質評価において従来法と比較し有用性が確認できた。この研究結果の内容をまとめて論文を作成し「トモシンセシス法を用いたパノラマX線画像における歯周組織所見の主観的および物理学的画質評価」の題名で日本歯科保存学雑誌第63巻第5号に原著論文として掲載された。 令和2年度は研究計画調書通りに研究を遂行できたこと、研究内容に関して論文掲載できたことからおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は令和2年度の結果を基に病態顎模型に対しエックス線画像を撮影し歯科疾患診断におけるトモシンセシス法の有用性を検討する予定である。 病態顎模型は特注品となるため模型作成が困難な状況になることが予想される。現在、模型作成業者との打ち合わせを行っている段階である。模型に病態を付与することは非常に繊細な作業でありより綿密な打ち合わせ、やり取りが必要になると考えられる。コロナ禍であるため実際に顔を合わせての打ち合わせ等が難しい状況ではあるが、リモート会議等のツールを活用しできる限り研究進捗に影響が出ないように配慮する予定である。 研究が遂行されたら論文を作成し成果の発表を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した理由として2つ挙げられる。1つはコロナ禍の為、各種学会がすべてオンラインでの開催となり旅費の使用が無くなったことが挙げられる。もぅ1つは病態顎模型の作製を当該年度中に行う予定であったがこちらもコロナ禍の影響で作成がずれ込んでおり次年度での作成となったためである。 各種学会に関しては今後もオンラインでの開催が見込まれるため旅費は発生しないものの積極的に参加、発表を行う予定である。模型に関しては現在、作成中であり次年度に計上できる予定である。
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