2020 Fiscal Year Research-status Report
Creation of next-generation implant surface design to promote bone regeneration with nano-topography patterning
Project/Area Number |
20K18554
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
陳 鵬 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (70708388)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | バイオインタフェイス設計 / ナノ・バイオ表面微細構造 / チタン / フェムト秒レーザー加工 / ヒト間葉系幹細胞 / インプラント材 / 生体適合性 / 医療・福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次世代向けインプラント、新生骨再生の促進をできるTi基インタラクティブバイオ界面の創出、特に骨組織再生に関するヒト間葉系幹細胞の接着形態・増殖制御及び骨細胞・軟骨細胞への分化誘導を促進できる効果的にインプラント体表面デザインの開発を目的とする。 本年度では、フェムト秒レーザの照射によるTi表面での周期的な微細構造のあるパターンを設計・試作に着手し、作成された表面微細構造の物理的・化学的評価を中心に研究の展開をはかった。フェムト秒レーザを照射によるTiの表面に異方的かつ周期的なマイクロサイズとナノサイズの両構造を複合化させたハイブリッド(micro/nano-hybrid)アーキテクチャを形成し、この周期的な微細構造のあるパターンは3つの表面デザインが作出した。表面加工された微細構造を確認するために、走査電子顕微鏡および3D測定レーザ顕微鏡鏡でTi表面上での周期的なナノ溝構造を観察でき、画像解析ソフトウエアを組み合わせて金属試料の表面粗さも計測を行った。レーザ表面加工プロセスがTi表面の元素・化学状態にどのような影響については、X線光電子分光法(XPS)を用いて、試料表面の酸化状態評価を行った。Tiスペクトルの成分分離、定量、膜厚算出し、レーザ加工したTiと未加工試料比較すると、表面酸化皮膜は1nmくらい増えたことが示された。しかし、この程度の結果の差が細胞応答に与える影響を少ないと考えられる。これらの結果を基に、作製した3つの表面デザインは新生骨再生を促進できる表面デザインの候補として適格だと考える。 さらに、マウスの前骨芽細胞よる、各表面パターンが細胞の接着性および増殖性に対する影響を調べた。結果より、グリッド(Grids)表面パターンは有効な細胞増殖の改善することを判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、フェムト秒レーザの照射によりチタン上での周期的な微細構造のある表面パターンの設計・試作に着手し、チタン表面微細構造の物理的・化学的評価を中心に研究の展開をはかった。最先端の材料表面・界面評価技術を利用して、チタン表面での微細構造を可能とする測定系の構築を行った。物理的・化学的評価の結果に加えて、フェムト秒レーザ表面加工適性(加工プログラムの作成や加工精度の難易度など)を考慮しながら、最適な新生骨再生を促進できる最適な表面デザインの候補が決められた。また、フェムト秒レーザ表面加工したチタン表面微細構造によるマウスの前骨芽細胞の接着制御および増殖促進などを実証しており、研究は当初の計画通りに進展している。金属基盤表面と幹細胞の相互作用を最適化することにより、生物活性を有するインプラント材の表面設計・開発を進めています。 さらに、本年度得られた結果が学術的に価値の高いものであることが認められたため、国内外のオンライン学会発表(6件、うち国際学会1件)や論文投稿(8件、うち国際共著1件)を通じて成果の発信を行った。今年度の達成度は「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度の研究を継続し、最適な新生骨再生を促進できる最適な表面デザインの候補を決定、およびTi表面上での異方性周期的微細構造よりヒト間葉系幹細胞の接着形態・増殖制御及び骨細胞・軟骨細胞への分化促進と新生骨組織の再生挙動などの分子レベル(タンパク質)でのメカニズムの解明の研究を継続することとする。得られた結果をさらに有効なレーザ表面加工技術条件へとフィードバックする。具体的には、以下の項目に細分化された項目について、次年度に引きき研究をする。 (1)周期的な微細構造のスケール(マイクロメートルスケールまたはナノメートルスケール)と細胞接着性の関係を明らかにする。また、接着のメカニズムに関する膜貫通型タンパク質を探索する。細胞よりmRNAを抽出して、細胞の接着に関するバイオマーカーを使用し(例:alpha-integrin, beta-intergrin, Vcl, Col1alpha1)、細胞 の遺伝子発現の変動を測定結果による遺伝子のエピジェネティックな制御機構の解明を行う。 (2)周期的な微細構造のあるパターンと細胞増殖性の関係を明らかにする。予定では細胞播種後、1d、3d、5d、7d、と9dで各試料表面での細胞数をカウンティングする。さらに、細胞よりmRNAを抽出して、細胞の増殖に関するバイオマーカーを使用し(例:BrdU, MCM-2)、細胞 の遺伝子発現の変動を測定結果による遺伝子のエピジェネティックな制御機構の解明を行う。。 (3)さらに、細胞におけるALP活性と石灰化による骨再生関するタンパク質発現量解析による評価を行い、硬組織適合性獲得とその機構解明を行う。 これらの結果を基に、次年度の研究計画を策定する。また、研究の得られた成果は、リモートで国内外の学会における講演および学会誌への論文投稿により逐次公表する。
|
Causes of Carryover |
(理由) 次年度は、複数種類細胞(骨髄由来ヒト間葉系幹細胞、脂肪由来ヒト間葉系幹細胞、ヒト歯髄幹細胞、ヒトの骨芽細胞、マウスの骨芽細胞など)を使用し、周期的な微細構造に細胞接着・増殖機構の解明と一般的表面デザイン関する理論への拡張する予定であった。そのために、細胞培養・解析用消耗品が大量購入を見送ったため。特に、値段が高い遺伝子分析関する消耗品(核酸抽出・精製用キットやcDNA合成・クローニング用キットやリアルタイムPCR(RT-PCR)用キットなど)の購入の予定であった。 (使用計画) 次年度の研究費には、当初の計画通りに実験を行うための消耗品の購入や、周辺研究の調査や研究成果の発表を目的とした国内外の学会参加費を計上する。さらに、次年度は、大量データ収集の効率化のため、複数種類細胞で評価を予定している。そのために、細胞培養や遺伝子発現の解析に関する消耗品の購入する必要がある。また、国内外での学会発表のための参加登録費、および学術雑誌へ論文投稿する費用に充当する予定である。
|