2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K18561
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
沖 佳史 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (80806571)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チタン薄膜 / 骨誘導再生療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科インプラント治療において骨量が不足する場合,バリアメンブレンを使用する骨再生誘導法が行われる。このメンブレンには骨再生のための空間保持や上皮系細胞の骨欠損内への侵入阻止などの機能とともに骨形成促進作用が要求される。現在このメンブレン材料には,生体親和性,力学的強度および操作性に優れるチタンが広く用いられている。チタン自体は生体不活性材料であり骨形成促進作用を持たない。そのためチタンに生体活性作用を付与する様々な表面改質法が提案されている。これまでインプラント体のような緻密体に有用な表面改質法は多く報告されているが,チタンメンブレンのような薄膜構造体に適用できる表面改質法については明らかとなっていない。そこで本研究は,チタン薄膜の生体活性を向上する表面改質法を明らかにし,これを用いた骨形成促進作用を有するチタンメンブレンの作製を目指すため,アルカリ処理によるチタン薄膜の表面改質法の検討,疑似体液中におけるチタン薄膜の生体活性作用の検討およびラット頭蓋骨におけるチタン薄膜の骨形成作用の検討を行った。これらの結果より,アルカリ処理はチタン薄膜に適した表面改質法であり,アルカリ処理されたチタン薄膜は生体活性作用を促進することが明らかとなった。また,アルカリ処理を行ったチタン薄膜はin vivoにおいて骨形成促進作用を有することが示された。 以上より,アルカリ処理チタン薄膜は,強度を維持しつつ生体活性作用が促進されることが明らかとなり,骨形成促進作用を有する新規チタンメンブレンに成り得ることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに実験を遂行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本研究で開発したアルカリ処理チタン薄膜を用いて,ラットを用いたin vivoにおけ る骨形成促進効の検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,学会の開催形式および研究ミーテングがオンラインとなったため,旅費が不要となったため。 次年度に繰り越された助成金により,実験材料,試薬および実験動物を購入し,実験のデータ数を増やす計画である。
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