2021 Fiscal Year Research-status Report
BDNFを用いた新規インプラント周囲炎治療法開発の基礎研究
Project/Area Number |
20K18574
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐々木 慎也 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (60848000)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / 再生治療 / ビーグル犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラント治療は歯を失った際の有効な治療法として急速に普及しているが、一方でインプラント周囲炎が問題になってきている。インプラント周囲炎で失ったインプラント周囲骨を再生させる確実な治療法はない。そこで本研究では、歯周炎で破壊された歯周組織の再生を促進することが知られている脳由来神経栄養因子(BDNF)をインプラント周囲炎の治療に応用し、インプラント周囲骨を再生させることを目的とした。 まずビーグル犬にインプラント周囲炎モデルを作製した。ビーグル犬の両側下顎第2~4前臼歯を抜歯し、抜歯窩治癒後(3ヶ月後)に片側3本ずつインプラントを埋入した。埋入から3ヶ月後にエックス線撮影、プロービングおよびインプラント安定指数(ISQ値)測定を行い、オッセオインテグレーション(骨とインプラント体の強固な結合)を確認した。その後、インプラント周囲に絹糸を結紮してプラークを付着しやすい状況にした。このまま3ヶ月放置することで、インプラント周囲炎を引き起こすことができた。インプラント周囲炎を起こしたインプラント表面を超音波で清掃し、BDNFゲルを塗布した。3ヶ月後にインプラント周囲の検査を行い、周囲組織と一塊にして取り出して標本を作製し、組織学的に観察した。その結果、インプラント周囲骨の再生が確認された。対照としてインプラント周囲炎の治療を行わないコントロール群と表面の清掃のみ行うデブライドメント群も作製した。コントロール群では依然炎症が強く、骨再生は認められなかった。デブライドメント群は現在組織標本を作製しているところである。今後さらに追加実験を行い、BDNFの有効性を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビーグル犬1頭につき実験期間が約1年半かかるため、実験期間を延長することとなったが、実験計画立案当初の仮説を証明する実験結果が得られており、おおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実験計画より1年間延長し、仮説の検証を行っていく。インプラント周囲炎の再生治療にBDNFが有用であることを示唆するデータが出ており、個体数を増やして追実験を行い、得られたデータの信頼性を高める予定である。また、対照群の作製とデータ分析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
ビーグル犬を用いた実験の経過観察期間を当初の実験計画よりも長く設定することとなったため、本助成金による研究機関を1年間延長することとなった。それに伴い、翌年度に組織標本作製と特許申請、論文発表を予定し、それに係る経費を次年度使用額としている。
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Research Products
(1 results)