2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K18575
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩脇 有軌 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10754624)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨質 / オッセオインテグレーション / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラントを長期的に維持・安定させるためには、オッセオインテグレーションの獲得、維持が重要となる。オッセオインテグレーションには骨量や骨密度が関与していることが知られているが、近年特に骨質の重要性が注目されている。骨質についての研究は広く行われているが、その全ての分子機序が解明されているとはいえない。一方で、エピジェネティクス機構の一つであるmicroRNA(miRNA)の遺伝子発現調節は様々な生命現象に関与しており、骨組織においても骨リモデリング等に関連している。本研究では、miRNAが骨質へ影響を与えるシグナル分子の一つであることを検証し、骨質評価の指標または薬剤標的としてのmiRNAの可能性を探ることを目的としている。本年度は、前年度同様、過去の文献でlysyl oxidase(LOX)に影響を与えると報告のあるβ-AminopropionitrileおよびDL-Homocysteineを100μM、200μM、400μM、1mMの濃度溶液に調整した。骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)を96 well dishに2.0×10^3播種し、培地にて24時間培養後、各濃度の培地上にて24時間、48 時間、72時間培養し、MTT Assayにて細胞増殖への影響およびLOXの測定を行った。本条件において細胞増殖では大きな変化を認めなかったがLOXではβ-AminopropionitrileおよびDL-Homocysteineの添加でともに変化を認めた。また、6 well dish に1.0×10^5ずつMC3T3-E1播種し、各濃度溶液で細胞形態の確認を行った。各条件間での細胞形態の違いは認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LOXはコラーゲン線維の架橋を促進することが報告されており、本年度はMC3T3-E1におけるβ-AminopropionitrileおよびDL-Homocysteineの各濃度でのLOXへの影響を検討したところLOXの値に変化を認めた。フェノタイプについては、β-AminopropionitrileおよびDL-Homocysteineの各濃度におけるMC3T3-E1の細胞形態の検討を行ったが大きな変化を認めることはなかった。研究を進めていく上で、フェノタイプへの影響についての検討が必要であり、本年度はその検討を十分に行う必要があったため遅れが生じてしまった。今後もフェノタイプについての検討は行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MC3T3-E1のフェノタイプへの影響について更に検討するとともに、β-AminopropionitrileおよびDL-Homocysteineを各条件で添加し培養したMC3T3-E1におけるmiRNA発現についての検討を並行して行う予定である。フェノタイプへの影響では細胞分化についての検討を重点的に行う。また、miRNA発現についての検討では、マイクロアレイ解析にて網羅的解析を行った後、RT-qPCRによって発現変動の確認を行う。その後、発現変動を認めたmiRNAの標的遺伝子候補をmiRDBやTarget Scanなどのデータベースを用いて検索・予測していく。最終的にはその標的遺伝子の遺伝子発現やタンパク発現を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
現在の進歩状況においては既存の試薬や消耗物品の使用が可能であったため、次年度使用額が生じた。翌年度はマイクロアレイ解析やqRT-PCR、ウエスタンブロッティングなど高額な試薬等が必要になり、翌年度分として請求した研究費と合わせてその費用として使用する予定である。
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