2021 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用に向けた歯周組織再生スフェロイドブロックの開発
Project/Area Number |
20K18577
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
佐野 孝太朗 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10852486)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯周病 / 再生医療 / スフェロイド / 歯根膜幹細胞 / 細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は歯周組織再生に有効であると報告されている歯根膜幹細胞、および単層培養と比べて生理的機能が向上しているといわれているスフェロイドに着目して研究を計画した。本研究では、スフェロイド内部の生存性を向上させることを目的に、歯根膜幹細胞スフェロイド表面を血管内皮細胞で被覆し、それをもとに成形したスフェロイドブロックを動物へ移植することを予定した。移植先の生体での組織再生に有益、かつ移植材料としての操作性に優れた、新たな歯周病治療法としてのスフェロイドの可能性を検証することを目的とした。 スフェロイドブロックのもととなる歯根膜細胞スフェロイドは、単層培養歯根膜幹細胞に比べて幹細胞関連遺伝子発現、および骨分化誘導時の骨関連遺伝子発現が有意に上昇していた。 当初、歯根膜幹細胞を血管内皮細胞で被覆した2層構造の共培養スフェロイドの作製を試みたものの、スフェロイド作製用マイクロウェルチップ上で一方の細胞にコラーゲン被覆をさせながら他方の細胞を共培養させることが困難であることが判明した。しかし、歯根膜幹細胞スフェロイドのみから作製したスフェロイドブロックは大きさが3mm×3mm×1mm程度でピンセットを用いて把持可能で操作性に支障はなく、Live/Dead染色より、中心壊死することなく形態を維持できていることが確認できため、歯根膜幹細胞スフェロイドブロックについて検証を進めることとした。 歯根膜幹細胞スフェロイドブロックは骨分化誘導時に石灰化結節を形成することがALP染色により明らかとなった。また、HE染色によりスフェロイド内部が疎にならず歯根膜幹細胞で密に構成されていた。さらに、軟骨分化・脂肪分化条件下で誘導すると、それぞれに分化誘導されることが組織学的評価で確認できた。これより、多分化能および内部生存性を有する、操作性を確保したスフェロイドブロックを作成できたことが示された。
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