2020 Fiscal Year Research-status Report
骨の細胞間ネットワークを強化する骨再生治療法の開発とその機序の解明
Project/Area Number |
20K18590
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩飽 由香利 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80736190)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨 / 細胞間クロストーク / リン酸カルシウム / 天然高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,骨に存在する細胞間ネットワークによる骨形成促進に着目し,分子生物学,細胞生物学,組織学的な手法を駆使して,バイオマテリアル上におけるクロストークの解明と骨再生治療への応用を目指している. 今年度は,実験試料の作製条件の決定を重点的に行った.実験材料には,研究室にて合成したリン酸カルシウム及びゼラチンを用いた.ゼラチンの気孔率・気孔径,リン酸カルシウムの種類,リン酸カルシウムの結晶粒径などを変化させ,異なる合成条件下でリン酸カルシウム/ゼラチン複合体またはゼラチン担体を作製することに成功した.また,X線回折装置(XRD)及び走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて,各材料のキャラクタリゼーションを行った. 作製した試料の細胞反応性を評価するため,材料上におけるマウス骨関連細胞の接着能を検討した.また,今後の動物実験への予備的検討として,十分な接着細胞数の得られる細胞播種濃度の条件を決定することができた. 以上より,今年度は本研究の基盤となるバイオマテリアルの設計と,将来の動物実験への展開を見据えた細胞培養条件の決定について,目標を達成することが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は,骨に存在する細胞間クロストークを明らかにするため,基盤となる実験試料の作製に取り組んだ.その結果,実験試料の合成条件や最適細胞播種濃度の決定を行うことが出来た.現在まで研究はおおむね順調に進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,作製した試料を元に,骨関連細胞の分化や機能の評価を重点的に行う.細胞培養前後でのリン酸カルシウムの材料学的解析を深め,人工骨の物理化学的性質が骨の細胞間クロストークに与えるメカニズムの解明に取り組む. また,令和2年度に得られた検討を踏まえて,細胞を播種した生体材料の動物移植実験を展開していきたい.生体材料の材料学的性質や移植細胞の有無が骨形成あるいは材料吸収の過程に与える影響を明らかにする予定である.
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Causes of Carryover |
令和2年度の細胞培養実験は,予定していたよりも備品・消耗品の購入が少なかった. 次年度は,骨の細胞間クロストークのメカニズムの解明を目的として,細胞実験や動物実験を行う予定である.
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