2022 Fiscal Year Research-status Report
骨の細胞間ネットワークを強化する骨再生治療法の開発とその機序の解明
Project/Area Number |
20K18590
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩飽 由香利 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (80736190)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨 / 細胞間クロストーク / リン酸カルシウム / 天然高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨には骨細胞,骨芽細胞,破骨細胞に加えて,脂肪細胞,間葉系幹細胞,血管内皮細胞など様々な細胞が存在していることが報告されている.しかしながら,骨に存在する細胞間ネットワークが骨代謝に与える影響については,未だ明らかになっていない点が多い. 本研究では,骨に存在する多様な細胞間ネットワークによる骨形成の促進に着目をしている.分子生物学,細胞生物学,組織生物学的な手法を駆使して,人工骨補填材料上における細胞間クロストークを解明するとともに,骨再生治療への応用を目指している. 前年度(令和3年度)には,骨組織関連細胞を播種した人工材料を用いて,マウスを用いた動物実験を重点的に行った.作製した人工骨補填材料に分化段階の異なる細胞を播種し,マウス頭蓋冠の骨欠損に埋入した.埋入後,経時的に試料を回収し,マイクロCTによる放射線学的解析,およびヘマトキシリン・エオジン染色やTRAP染色などによる組織生物学的評価を行った. 今年度(令和4年度)は,播種細胞による骨再生の機序を明らかにするため,遺伝子に着目した網羅的解析を行った.その結果,骨形成に関与している可能性のある遺伝子の候補を幾つか同定することができた. 現在は同定した遺伝子に着目し,組織生物学的な解析を進めている. 以上より,今年度は網羅的な遺伝子発現解析を重点的に行うことによって,生体内における細胞播種人工材料の骨再生能について評価することが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,網羅的な遺伝子発現解析および組織学的検討を進めることができた.しかしながら,実験条件の探索や予備的検討に時間を要したため,全体的には研究計画が遅延した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は,前年度に得られた網羅的な遺伝子発現解析をもとに,組織学的な解析を進めていく.また,最終年度になるため,細胞移植した人工材料が骨形成能に与えるメカニズムの解明についても取り組んでいく予定である.
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Causes of Carryover |
令和4年度は,想定していたよりも備品・消耗品の購入が少なかった. 令和5年度は,骨の細胞間クロストークのメカニズムの解明を目的として,動物実験の評価や最終的な研究の取りまとめに研究費を使用する予定である.
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