2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of local hypoxia due to uneven distribution of blood vessels on fibrogenesis of periodontal ligament
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20K18594
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河村 篤志 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (90645889)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯根膜 / 部位特異性 / 線維形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
咬合機能の維持・回復には,歯根膜の組織特性の理解が不可欠である.これまでの研究から,歯根膜細胞は部位特異的な特徴を有する不均一な 組織であることが間接的に示唆されているが,その詳細と制御メカニズムは依然として不明である.本研究では低酸素応答分子であるHIF-1に よるTGFβ-Smad経路を介した線維形成の活性化が,”高密度な線維形成”という部位特異性を生み出しているのではないかとの仮説の検証を目 的とする.歯根膜の部位特異性の理解は,補綴処置に付随して歯周組織に生じる,様々な臨床症状を生物学的に理解するための基礎的情報とし て極めて重要であり,臨床/学術的に高い意義を有している. 歯根膜の線維密度,走行は部位によって異なっている.これは咬合力に抵抗する形態として効果的な配列がされているという説明がされることが多いが,その制御機構や影響を及ぼす因子についてはほとんど明らかとなっていない.申請者らは歯根膜組織における血管の偏在と線維密度の 相関に着目し,この両者を結びつける分子として,低酸素に誘導されるHIF-1と線維形成とその成熟に重要なTGFβに着眼した.本研究の目的は,歯根膜線維の部位特異性を生み出す解剖学的特徴と,これを制御する分子的背景を明らかにするため,血管の偏在によって生じる組織中の酸 素分圧勾配と,低酸素に誘導されるHIF-1によるTGFβ-Smad経路を介した線維形成の活性化メカニズムを明らかにすることである. これまでのところ,組織学的解析により,血管の検出にanti-CD31抗体/anti-Endomucin抗体を用い,組織中の血管偏在についてのデータを取得した.線維形成についてはPicrosirius red染色の偏光観察により検出を行い,より定量性の高いSecond Harmonic Generationについてもデータの取得と解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルス感染対策のため,一部研究時間が制限されたが,データの取得は順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
低酸素条件下での培養がマウス歯根膜細胞の HIF-1 産生および TGFβ-Smad 経路に及ぼす 影響の解析を行う.低酸素状態で 24 時間培養したマウス歯根膜細胞から細胞 Lysate を調整し, Western-blot により HIF-1,TGFβ-SMAD 経路の活性を解析する.TGFβ-Smad 経路活性の検出には anti-pSmad3 抗体を用いる.また HIF-1の阻害剤であるDimethyl-bisphenol A,および TGFβ-Smad 経路の阻害剤であるSB431542 を用い,それぞれの経路を遮断した際の,下流シグ ナルならびに線維形成における影響を明らかにする.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染対策のため,研究時間の成約があり,一部の組織学的解析を行うことが出来なかったため,余剰金が生じた.該当する解析は翌年度に行う予定であり次年度使用額とした.
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Research Products
(5 results)