2021 Fiscal Year Research-status Report
CAD/CAM冠接着技法の確立ー新規汚染除去剤による接着阻害因子の除去ー
Project/Area Number |
20K18596
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 早希 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (10804487)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 接着歯学 / 接着阻害因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
アクリルレジン板を支台築造用レジンで作製した築造用レジンブロック試料にカルボキシレート系仮着材を用いて仮着し,蒸留水中に1週間浸漬した.レジン板を除去後,仮着材を①エアスケーラーにて除去(SC群)②SC群と同様に処理後,MDP含有汚染除去剤(カタナクリーナー,クラレノリタケデンタル)を含んだマイクロブラシにて擦拭(MDP群)③SC群と同様に処理後,蒸留水下でマイクロブラシにて擦拭(MB群)の3通りで除去し,また仮着材汚染のない群をコントロール群(Co群)とした. 20秒アルミナブラスト処理および10秒シラン処理を行ったCAD/CAM冠用レジンブロック(カタナアベンシアブロック A3 LT,クラレノリタケデンタル)をセルフアドヒーシブ型接着性レジンセメント(SAルーティングMulti,クラレノリタケデンタル)にて築造用レジンブロック試料に接着した.また,各群をセメント合着する前にボンディング材(ユニバーサルボンドQuick,クラレノリタケデンタル)を塗布した群(U+)としなかった群(U-)に分けた.光照射後,24時間水中浸漬したのちに,μTBS試験を行った(各群n=20).破断面はSEMにて観察した. μTBS値は,Co(U-)群が75.3MPa,SC(U-)群が49.6MPa,MDP(U-)群が71.9MPa,MB(U-)群が63.0MPa,Co(U+)群が83.0MPa,SC(U+)群が76.9MPa,MDP(U+)群が69.4MPa,MB(U+)群が81.3MPaであった.すべての群において混合破壊が高い割合で認められた. 以上よりボンディング材を使用しない場合は,仮着材の除去方法としてエアスケーラーのみでは不十分であること,またMDP含有汚染除去剤の高い仮着材除去効果が確認された.なお,ボンディング材の塗布を行った群では仮着材除去法による接着強さの違いは認められなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はCAD/CAM冠を装着する被着体を象牙質として仮着材除去後の残存状態の「被着面形態の観察」と「表面分析」および「接着試験」で確認した.2021年はCAD/CAM冠を装着する被着体を築造用レジンブロックに変更して実験を行う予定であった.上記のとおり接着試験はすべて予定通り行われている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までは臨床で想定される接着阻害因子として仮着材をターゲットとしてその除去効果と接着強さを評価し,MDP含有汚染除去剤が仮着材除去に有効であることを確認した.接着阻害因子としては仮着材の他に唾液も想定される.今後は唾液の汚染に対しての清掃法について評価を行なっていく予定である.以下に予定している具体的な研究内容を示す. CAD/CAM冠用レジンブロックを#400の耐水研磨紙にて研磨後,10秒間人工唾液(サリベート)にて汚染後,20秒サンドブラスト処理,10秒シラン処理を行う. 支台築造用レジンで作製した築造用レジンブロック試料を#400,600の耐水研磨紙にて研磨し,10秒間人工唾液にて汚染後,①水洗する群②水洗後,マイクロブラシにて擦式する群③水洗後,カタナクリーナーを含んだマイクロブラシにて擦式する群の3群に分けて汚染除去を行う.各群をさらにセメント合着する前にボンディング材(ユニバーサルボンドQuick,クラレノリタケデンタル)を塗布した群としなかった群に分け,CAD/CAM冠用レジンブロックと築造用レジンブロック試料を接着し,試料作製してμTBS試験を行う.破断面はSEMにて観察する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは当初の想定より旅費,人件費・謝金が軽減できたためである. 次年度の実験に必要な物品購入と成果を発表するための論文作成・投稿費に使用する.
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