2022 Fiscal Year Research-status Report
CAD/CAM冠接着技法の確立ー新規汚染除去剤による接着阻害因子の除去ー
Project/Area Number |
20K18596
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 早希 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (10804487)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 接着歯学 / 接着阻害因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
CAD/CAM冠用レジンブロックを#400の耐水研磨紙にて研磨後,60秒間ヒト唾液にて汚染後,20秒サンドブラスト処理,10秒シラン処理を行った. また,支台築造用レジンで作製した築造用レジンブロック試料を#400,600の耐水研磨紙にて研磨し,60秒間ヒト唾液にて汚染後,①10秒水洗する群(wash群)②10秒水洗後,蒸留水下でマイクロブラシにて擦式する群(MB群)③水洗後,カタナクリーナーを含んだマイクロブラシにて擦式する群(MDP群)の3群に分けて汚染除去を行った.また仮着材汚染のない群をコントロール群(Co群)とした.各群をさらにセメント合着する前に築造用レジンブロック試料にボンディング材(ユニバーサルボンドQuick,クラレノリタケデンタル)を塗布した群(B+)としなかった群(B-)に分け, CAD/CAM冠用レジンブロックと築造用レジンブロック試料をセルフアドヒーシブ型接着性レジンセメント(SAルーティングMulti,クラレノリタケデンタル)にて接着し,試料作製した.24時間水中浸漬したのちに,μTBS試験を行った(各群n=20).また破断面はSEMにて観察した. μTBS値は,Co(B-)群が89.2MPa,wash(B-)群が70.5MPa,MDP(B-)群が89.6MPa,MB(B-)群が66.4MPa,Co(B+)群が88.6MPa,wash(B+)群が83.3MPa,MDP(B+)群が77.9MPa,MB(B+)群が84.0MPaであった.すべての群において混合破壊が高い割合で認められた. 以上より築造用レジンにセルフアドヒーシブ型接着性レジンセメントを用いてCADCAM冠を装着する場合においては接着前処置としてボンディング材を築造用レジンに塗布することで、唾液汚染による接着阻害の影響を受けなかったことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020,2021年度はCAD/CAM冠を装着する被着体を象牙質と支台築造用レジンとして仮着材汚染後の清掃方法についての検討を行ってきた.2022年度は CAD/CAM冠を装着する被着体を築造用レジンブロックとしてヒト唾液汚染後の清掃方法について実験を行う予定であった.上記のとおり接着試験はすべて予定通り行われている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までは臨床で想定される接着阻害因子として仮着材,唾液を想定し,その除去効果と接着強さを評価してきた.接着阻害因子としては他に血液も想定される.今後は血液の汚染に対しての清掃法について評価を行なっていく予定である.以下に予定している具体的な研究内容を示す. CAD/CAM冠用レジンブロックを#400の耐水研磨紙にて研磨後,60秒間ヒト唾液にて汚染後,20秒サンドブラスト処理,10秒シラン処理を行う. 築造用レジンブロック試料を#400,600の耐水研磨紙にて研磨し,60秒間ヒト唾液にて汚染後,唾液汚染の実験と同様の3群に分けて汚染除去を行う.各群をさらにセメント合着する前にボ ンディング材を塗布した群としなかった群に分け,CAD/CAM冠用レジンブロックと築造用レジンブロック試料を接着し,μTBS試験を行う. また築造用レジンブロック上に残存する接着阻害因子を詳細に分析することも行う予定である.仮着材汚染した試料はエネルギー分散型X線分光法解析と接触角測定を,唾液・血液汚染した試料はCBB染色と接触角測定を行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは当初の想定より旅費,人件費・謝金が軽減できたためである. 次年度の実験に必要な物品購入と成果を発表するための論文作成・投稿費に使用する.
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