2023 Fiscal Year Annual Research Report
光重合型架橋性ビニルエステルの分子量と多孔型吸収性骨補填材の骨形成率との関係
Project/Area Number |
20K18602
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 知枝 岡山大学, 歯学部, 博士研究員 (60838001)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨補填材 / 吸収性 / 光重合 / ビニルエステル / アジピン酸ジビニル / BMP2 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリアジピン酸ジビニル(PDVA)はエステル結合をして生分解性を示す。また,骨形成蛋白(BMP-2)を加えたDVAを光重合してコラーゲンスポンジを補強すると骨誘導性を示し,BMP-2の担体としての有用性を示す一方,PDVAが長期間残存することも観察された。本研究では光触媒量を変化させて光重合した吸収性骨補填材を製作し,PDVAの分解速度を調整することを目的とした。 試料の基材としてコラーゲンスポンジを用い,φ8mm厚さ2mmにトリミングした。光重合触媒量は,カンファーキノン:第3級アミンをA群では1.2:4.8w/vとし,B,C群ではそれぞれA群の1/2,1/4とした。 麻酔下で8週齢のWistar系雄性ラット5匹ずつに各群の試料を頭蓋骨上正中に位置付けて縫合した。術後1, 2, 4および9ヶ月後にX線CT装置を用いて対象部位の観察を行った。その後,頭蓋骨ごと試料を採取し,試料の中央で前後に2等分して,前方部はパラフィン切片とし,H-E染色を施して病理組織学的観察を行った。後方部は骨染色後に非脱灰研磨標本とし,全組織量(TV),骨組織量(BV),PDVA量ならびに試料高さを計測し,BV/TVを算出した。 マイクロCTでは1か月後にはいずれの実験群でも骨組織の形成が見られたが,A群に比べるとB, C群の形成骨量は少なかったが,9か月後まで形態はほぼ維持された。病理組織学的では試料内に線維性組織が侵入して,既存骨表面から試料内に新生骨の部分的形成が認められた。PDVA表面には多核細胞が少数存在したが,炎症性細胞浸潤は認められなかった。BV/TVはA群ではB, C群に比べて有意に高かった。また,A群のPDVA量はB, C群よりも有意に少なく,試料高は C群よりも高かった。以上の結果から,光重合触媒量によってPDVAの吸収速度を調整可能であることが示唆された。
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