2020 Fiscal Year Research-status Report
Novel culture method utilizing characteristics of stem cells
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20K18605
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 将之 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (40847985)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 低酸素環境 / 3次元培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
幹細胞研究を行う上での問題点として、幹細胞を培養、継代していく過程で、幹細胞の多能性が減弱してしまうことが挙げられる。また、従来の接着培養法では、細胞への最適環境を維持しながら細胞接着面積を大規模化するのは構造面とコスト面で困難であることから、大スケール培養と生産には不向きであり、現状では効率的に大量かつ良質な幹細胞を増殖 させる技術が確立しているとは言い難い。そこで本研究では、幹細胞の多能性維持と大量培養の両立を目的とし、その方法としてドーム状の低接着性ディッシュを使用した浮遊培養法に着目する。幹細胞を低酸素環境で培養することで多能性が向上することが知られており、浮遊培養法により細胞同士で凝集塊を形成させれば、その内部で低酸素環境を得られるのではないか、という点に着目したのが本研究課題の特徴である。 また通常の2次元的な細胞培養ディッシュ上で培養する手法と比較して、浮遊培養法では3次元的に任意の方向に細胞塊が成長できるため、飛躍的に多くの細胞を得ることができる可能性を秘めている。これは非常に基幹的な技術であるため、成功すれば幅広い研究分野に応用されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、幹細胞の多能性維持・獲得のために低酸素状態という細胞にとっては極めて過酷な環境に晒すことによって、大量に良質な幹細胞を得られる手法を探索することである。 現段階では浮遊させるのに適切な凝集塊のサイズに加え、培養条件を決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、従来から用いてきたラット歯肉由来間葉系幹細胞、ラット骨髄由来間葉系幹細胞、ヒト歯小嚢由来上皮系幹細胞を低接着性ディッシュ上で培養し、細胞塊を形成させる。 今後からは凝集塊がある程度のサイズに成長した後には、底面が半球状となった低接着性ディッシュに移し、側面よりメディウムを環流させることで凝集塊を回転させようとする。さらに、多能性の評価、表面抗原(CD90, CD105, CD45, CD34等)、細胞増殖率の評価に焦点を絞って解析を行うこととする。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の蔓延によって海外への学会参加などが中止され、旅費などが予定より減少したため使用額が予定より減少した。
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