2021 Fiscal Year Research-status Report
デジタルデータを利用した即時下顎再建法に関する研究
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20K18610
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
勅使河原 大輔 明海大学, 歯学部, 講師 (70779016)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 下顎骨再建 |
Outline of Annual Research Achievements |
再建顎堤および装着義歯の評価について初年度と同様にデータ収集および解析を行う。 下顎骨区域切除および硬性再建後の義歯装着患者を対象とする。グミゼリーを用いたグルコース溶出量計測による咀嚼能力検査(グルコセンサーGS-Ⅱ、ジーシー)、感圧フィルムを用いた咬合力分析(デンタルプレスケールⅡ)による機能評価を行う。術後検査の必要上、撮影されたCT画像から下顎骨部分のDICOMデータを抽出する。データ変換ソフト(Mimics base、 マテリアライズジャパン)にて、下顎骨のポリゴンモデルを作成する。歯科用3Dスキャナー(CS3600、 Trophy Solution)を用いて歯列および義歯形態のポリゴンモデルを作成する。取得した下顎骨モデル、歯列モデルおよび義歯モデルをソフトウェア上で重ね合わせ、義歯装着時の再建顎堤と義歯の装着時の位置関係を再現し、デジタル画像解析による形態分析を行う。各々の機能評価値と形態評価値に対して統計解析ソフトウェア(IBM SPSS ver.25 statistics、IBM)を用いて相関分析を行い、再建顎堤および装着義歯の形態評価を行う。 初年度より行った再建顎と装着義歯の機能および形態評価、硬性再建後の下顎骨形態と術後に装着した可撤性有床義歯の重ね合わせにより、再建顎堤形態に装着し得る義歯(床縁)形態が明らかになりつつある。加えて当初の研究計画では実態模型を必要としていた従来シミュレーション手法の一部をデジタル化することが可能となり、顎骨形態に関する術前後での比較をデジタルソフトウェア上で行うことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度に、データ収集・解析に必要な機器等を揃えることができ、研究実施計画を検証、修正により実験手法が確立できた。研究2年目となる2021年度ではこれまで実態模型を必要としていた下顎骨再建シミュレーション手法の一部(下顎骨区域切除、骨弁配置シムレーションおよびそれぞれの骨切りガイドの製作)を汎用3Dソフトウェア(3D builder、 Microsoft)を用いたデジタル化することが可能となった。これまで、術前シミュレーションは手作業で行っていたことから、術前の顎骨形態や移植ドナーとなる骨弁の実態模型の使用が必須であった。術後形態との形態比較には、3Dプリンターで出力した実態模型を再度デジタルデータ化する必要があり、試料作成に煩雑な操作を必要としていた。さらに術前形態のデータは3Dプリンターの精度だけでなく、3Dスキャナーの精度も影響を受けていることが考えられた。術前シミュレーションにより得られた形態を直接取り扱えるようになったことで、術後データとの形態比較の誤差に対する信頼性が確保でき、より定量的な検証が可能となったと考える。次年度以降、これまでのデータ収集および解析に加え、デジタルシミュレーションの確立および標準化を目的とした術前後の形態(実態模型およびデータ)の比較によるシミュレーション精度の検証を加えて行っていく。
研究資金について、申請課題の性質上、患者の個人情報に関わる試料の取り扱いが必要となる研究協力者との打合わせに等ついては直接的な対応が必要であるものの、最近の新型コロナ(COVID-19)感染拡大を受け、成果報告(学会発表)についてリモートでの対応が可能な環境が整備されてきており、これらに関わる費用については減額が可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
再建顎堤および装着義歯の評価について初年度と同様にデータ収集および解析を行う。シミュレーションの精度比較について、術前および術後の撮影されたCT画像から下顎骨部分のDICOMデータを抽出する。データ変換ソフト(Mimics base、 マテリアライズジャパン)にて、下顎骨のポリゴンモデルを作成する。歯科用3Dスキャナー(CS3600、 Trophy Solution)を用いて歯列および義歯形態のポリゴンモデルを作成する。取得した下顎骨モデル、歯列モデルおよび義歯モデルをソフトウェア上で重ね合わせ、義歯装着時の再建顎堤と義歯の装着時の位置関係を再現し、デジタル画像解析による形態分析を行う。各々の機能評価値と形態評価値に対して統計解析ソフトウェア(IBM SPSS ver.25 statistics、IBM)を用いて相関分析を行い、再建顎堤および装着義歯の形態評価を行う。 義歯床粘膜面と接する皮弁(軟組織)は、ドナーとなる組織や個人差による容量の違いも大きく、通常の顎堤粘膜と比較し、被圧変位量がかなり大きいことから義歯の挙動に影響を及ぼし、機能への影響が生じていると考えられた。そこで、義歯の挙動、荷重下における義歯の挙動の解析を行うにあたり、3Dモデルデータを用いた有限要素法解析(FEA)による応力解析を新たな形態評価のパラメータとして導入することとした。(使用ソフトウェア:Mimics base FEA module、 マテリアライズジャパン) ・再建顎堤(皮弁軟部組織)の容量を考慮した義歯の挙動 義歯および生体組織(骨および周囲軟組織)のそれぞれの構造を構成要素ごとの材料特性を付与した複合体としてFEAモデル(3Dソリッドモデル)を構築する(使用ソフトウェア:Mimics base、 マテリアライズジャパン)。下顎骨モデルに対して義歯を装着、両者の界面条件は非固着とし義歯咬合面接触点への荷重下での義歯の挙動(最大変位量、支持歯槽骨領域への応力集中領域)を評価する予定である
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Causes of Carryover |
下顎骨再建の術前シミュレーションに対し、これまで手作業でのシミュレーションを行っていたため、実態模型の使用が必須であった。実態模型は術後の顎骨形態との比較によるデータ解析に利用していたが、模型の精度に関して3Dプリンターの出力精度に影響を受けることから当初,より高精度な実態模型の出力が可能な光硬化型3Dプリンター(Form3B,form labs)プリンターを購入する予定であった。2021年度の研究の進捗により汎用3Dソフトウェア(3D builder、Microsoft)シミュレーション手法の一部デジタル化が可能となった。このことにより術前シミュレーションの再建下顎骨モデルデータを実態模型に出力することなく術前後の形態比較を行うことができるようになったため、年度内に予定していた使用額が減額となり次年度以降の使用額が生じた。
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