2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K18612
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
浦野 絵里 昭和大学, 歯学部, 助教 (20756225)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経堤由来幹細胞 / 毛包 / 高純度培養方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
広範囲の顎骨吸収を有する患者は義歯の維持安定を妨げ、インプラント埋入が困難であるため、前処置として骨造成を必要とする。従来の患者の自家骨を用いた骨造成法に代わる治療法として幹細胞を用いた骨造成法の開発が期待されている。患者自身の幹細胞を利用すれば、拒絶反応の問題を避けることができ、高い増殖能をもつ幹細胞を利用する事で広範囲の骨欠損部を補う骨造成が可能になると考える。申請者らの研究グループは、神経堤由来細胞が蛍光タンパク質で標識される遺伝子改変マウスを用いて生体内の組織を観察し、頭頸部や背皮、膵臓などに神経堤由来細胞が分布していることを見出した。申請者は、神経堤由来細胞が蛍光タンパク質で標識される遺伝子改変マウスを用いて毛包内の神経堤由来細胞を解析し、毛包の神経堤由来幹細胞の高純度培養方法を確立した。また毛包の神経堤由来幹細胞をBMP-2の刺激により骨芽細胞へ分化誘導することに成功し、毛包の神経堤由来幹細胞を骨再生用の細胞ソースとして利用することで新しい顎骨再建方法の開発につながる可能性が示唆された。そこで本研究では「毛包内の神経堤由来幹細胞が顎骨再建するためにどのような環境が最適なのか」「毛包内の神経堤由来幹細胞は顎骨欠損部においてどのように機能するのか」を解明していく。初年度は、顎骨へ移植した神経堤由来幹細胞の動向を観察するためにグリーンマウスを用いて組織の細胞を可視化し、実験を行う。申請者が開発した高純度培養方法により、神経堤由来幹細胞の純化を行い、最適な培養日数と培養皿について検討を行い、神経堤由来幹細胞にとって最適な高純度培養方法の確立を行う。その最適な環境を確立するため、各種スキャフォールドの選定と細胞定着解析を行う。適正な高純度培養環境の検討と移植用スキャフォールドの選定を行い、顎骨再建環境を確立し、次年度の実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度4月にEVOS XL Core Imaging systemを購入し、細胞の培養状態、染色状況を以前に増して観察しやすくなり、より良い環境が整った。しかし、その後コロナウイルス感染者増加の影響で一時的に実験が行えない時期が続いたこと、また第3子を授かったことで、実験に費やす時間を抽出することが難しくなり、マウス頬髭の毛包採取と毛包内の神経堤由来幹細胞の増殖を行うことのみに留まり、計画通りに進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1月に第3子を出産し、現在育休中だが、秋には復職し、遅れを取り戻したいと考えている。研究チームで密に連絡を取り、効率よく実験を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染者増加の影響で一時的に実験が行えない時期が続いたこと、また第3子を授かったことで、実験に費やす時間を抽出することが難しくなり、マウス頬髭の毛包採取と毛包内の神経堤由来幹細胞の増殖を行うことのみに留まり、計画通りに進めることができなかったため。本年度に実施できなかった移植用スキャフォールドの選定のためのスキャフォールド製作費用に使用する予定である。
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