2021 Fiscal Year Research-status Report
口腔内細菌叢が与える全身への影響とMPCポリマーによる抑制効果の網羅的検証
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20K18615
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
池谷 賢二 昭和大学, 歯学部, 助教 (30783344)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MPCポリマー / デンチャープラーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,医療分野で広く応用されている2-methacryloyloyethyl phosphorylcholine(MPC)を用いて,汚れない義歯の開発を目指している.我々は以前の研究で光感応型MPC ポリマーを用いた簡便で効果的なコーティング法を開発した.このコーティングを用いることで,基板上での基礎実験でのプラーク付着抑制効果を実証した.さらに実際の患者が使用する義歯を用いた臨床実験 でもデンチャープラークの付着を80%以上抑制することを実証した.デンチャープラークの付着を抑制することが実証されたが,その成熟度については次世代シークエンサーを用いて解析を行った.その結果MPCポリマーコーティングはデンチャープラークを量的にだけでなく質的にも抑制している可能性が示唆された.デンチャープラークは唾液や粘膜面などの口腔内の環境と比較して特異的な細菌叢を有していることが実証されている. デンチャープラークの網羅的検証により,デンチャープラーク内の細菌叢には誤嚥性肺炎の原因菌とされる細菌が多く常在していることが分かってきている.さらに細菌叢は患者の全身状態よりも義歯の衛生状態に強い影響を受けている可能性が示唆されており,衛生状態が悪化することにより,デンチャープラーク内の細菌叢は口腔内の細菌叢と異なってくる.MPCポリマーコーティングを行うことにより,デンチャープラーク付着は約80%以上抑制されるが,デンチャープラーク内の細菌叢は大きく影響を受けていないことが示された.さらに衛生状態の低い義歯にMPCポリマーコーティングを行った場合,コーティングしていない状態と比較してデンチャープラーク内の細菌叢は衛生状態の良好な義歯の細菌叢と似た状態に変化させていた.以上より,MPCポリマーコーティングはデンチャープラークを幼若化させている可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍における共同研究の制限で解析ができない状態が続き,やや進行が遅れていた. また研究成果報告においても当初の予定よりも発表ができない状態でいた.
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究における制限が解除されつつあるため,感染対策を厳重に行った上で,解析を勧めていく予定である. 共同研究においては他施設を利用しているため,研究を行う人数を制限し,体調管理などを徹底した状態で行うように対策する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により共同研究や学会発表の旅費使用分が出なかったため. 研究発表とデータ解析のための物品費,消耗品費用として使用する予定.論文ができた際には投稿費としても使用する.
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