2020 Fiscal Year Research-status Report
骨造成後のインプラント周囲骨の経年的変化に影響する生体力学的背景因子の検討
Project/Area Number |
20K18623
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 智哉 東北大学, 大学病院, 助教 (10845902)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 骨造成 / コーンビームCT / 歯科用インプラント / 骨リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,上顎前歯部の唇側骨に骨造成を伴うインプラント補綴治療を受けた患者を対象に,CT画像解析を基に移植骨の経時的形態変化を実測する.咬合等の補綴学的要件や患者の全身状態を評価項目として,骨吸収を含めた骨移植部の形態変化に影響を及ぼす様々な因子の検証を行う.被検者は東北大学病院歯科インプラントセンターにて上顎前歯部唇側骨への骨造成を行った後にインプラント補綴治療の完了が見込まれる20歳以上の男女を対象とし,研究参加の同意を文書で得られた者10名を対象としている.本年度は同意書を取得した患者のCT撮影を行った.また,移植骨の経時的変化量を制御しうる生体力学的因子,および患者の生活歴や骨代謝に関わる全身疾患等の調査を行った. CT撮影後は画像解析ソフトウェア(EV Insite S)にてMPR画像を構築し,インプラント周囲骨の状態を2次元画像にて解析した.また,CT画像は3D画像処理&サーフェイス作成ツールであるCAEソフトウェア(Simpleware Scan IP)にてセグメンテーション後に3次元構築し,骨の外形状を解析した.また,同意の得られた被検者の移植骨の経時的変化量を制御しうる生体力学的因子に関しては,術前の上顎前歯部唇側骨の厚み,骨造成量,インプラントの位置・本数,骨造成実施からインプラント埋入までの期間,暫間補綴冠(TEC)装着から最終補綴までの期間,TEC装着時のISQ(インプラント安定指数),インプラント周囲量,対合歯の状態,咬合力(デンタルプレスケール値),骨代謝に関わる全身疾患の有無,喫煙の有無,口腔清掃状態(PCR),年齢,性別を調査した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨移植材料として自家骨を使用した被検者の選定,CT撮影ならびにデータ収集は概ね順調であるが,骨再生誘導材ボナークの発売が遅れているため,ボナークを使用した症例については被検者が得られていない.また,CT画像解析および有限要素解析(FEA)が遅れている.しかし,今後データ収集が順調に進めばCTデータ分析に割ける時間を増やせるため,現在の進捗の遅れを挽回できると見込んでいる.
|
Strategy for Future Research Activity |
被検者選定,患者CT撮影ならびにデータ収集については現在のペースで遂行していく.現在までに収集したデータは,骨造成前(CT-0),骨造成直後(CT-1),インプラント補綴完了時(CT-2)のデータが中心で,補綴1年後(CT-3)のデータは少ないため,現在リクルートできた被検者については今後も継続的なデータ収集を行っていく. CT画像解析および有限要素解析(FEA)については,現在までに得られたデータを積極的に解析していく予定である.今年度中には,各被検者において,上顎前歯部唇側骨の移植骨量を人工的に変化させたFEモデルを複数構築し,それぞれに各被検者固有の骨リモデリングアルゴリズムを適用して,移植骨量と経時的骨形態との関連を被検者個々において解析することを検討している.
|
Causes of Carryover |
基本的に本年度は概ね計画通りに使用できたが,新型コロナウイルスCOVID-19の感染拡大により,関係する学会が中止またはオンライン開催となったため旅費が発生せず,当該助成金が生じた.次年度は請求した助成額と合わせて,未購入である高精細ディスプレイの購入,および当初予定していた設備備品費および消耗品費,旅費,CT撮影費等に使用予定である.本年度もCOVID-19の感染拡大により旅費が発生しない場合は,その分を今後のデータ収集に必要な消耗品費として使用予定である.
|