2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の口腔機能と高次脳機能の相互関係に関する長期縦断研究
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20K18628
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八田 昂大 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (60845949)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知機能 / 口腔機能 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔因子と高次脳機能の関連について、様々な結果が報告されているが、多人数を対象とした長期縦断研究はない。そこで本研究においては、自立した生活を送っている高齢者を対象として9年間の縦断研究を行い、口腔因子と高次脳機能ならびにその機能領域別の影響について、明らかにすることを目的としている。 2021年度は、感染対策に十分配慮したうえで、2020年度予定していた80歳群ならびに元々予定していた90歳群に対する会場調査を行った。2022年3月末までに、165名(80歳群165名(伊丹地区77名、朝来地区25名、板橋地区38名、奥多摩地区25名)、90歳群101名(伊丹地区45名、朝来地区19名、板橋地区28名、奥多摩地区9名))の調査を終えている。 本年度の研究成果として、84-88歳の地域在住高齢者457名を対象とし、様々な口腔機能と認知機能との関連について検討を行った。口腔機能は、咬合力、咀嚼機能、舌圧、舌口唇運動機能、嚥下機能の評価を行った.認知機能領域は, 日本語版Montreal Cognitive Assessmentから6つの認知領域(実行、視空間認知、記憶、注意、言語、見当識)の評価を行った.統計学的分析には、各口腔機能と認知機能の各領域との関連を検討するために、性別、年齢、教育年数を調整した偏相関分析を用いた。 偏相関分析の結果、咬合力は、実行、記憶、注意に、 咀嚼機能は、記憶に、舌圧は、注意、言語に、RSSTは、実行、注意に、舌口唇運動機能は、すべての認知機能領域に有意な関連を認めた。本研究の結果より、口腔機能によって、関連する認知機能領域が異なる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19の影響で、2021年度最初に行う予定であった調査が、2021年度終わりに行うことになり、さらに人数を制限した状態で調査したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度末までに行った調査のデータ整理・分析ならびに12年後の追跡調査を感染対策に十分配慮したうえで会場調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID19の影響により、調査の進行が遅れたことに加え、想定より調査参加人数が少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、12年後の追跡調査に加えて、昨年度までに得られたデータの整理の人件費に使用する予定である。
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