2021 Fiscal Year Research-status Report
口腔内細菌による慢性腎臓病感染症発症メカニズム解明と口腔内環境との関連
Project/Area Number |
20K18634
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小山 絵理 岡山大学, 大学病院, 医員 (60779437)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 歯学 / 口腔内細菌 / 慢性腎臓病 / 感染シャント / 16sRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦の慢性腎臓病(CKD)患者は年々増加し,その死亡率の高さや透析による医療費の高騰が社会問題になっている.このCKD患者の増加の背景には,糖尿病性腎症の増加があるとされており,糖尿病による全身的な易感染状態が透析患者の背景にあると考えてよい.その結果,透析患者の主要な死亡原因(第2位)が感染症であり,その一端として透析患者の血管確保のために設けられるシャント感染の合併症が挙げられる.申請者はこれまでに,口腔内の悪環境が透析シャントの感染の原因と推測し研究を進め,口腔内細菌叢と感染シャント細菌叢が類似すること,口腔内特異的な細菌叢が感染シャント部に存在するという事実を掴んだ. 本申請研究ではこれまでの研究成果を基盤に,シャント感染の起因菌を同定し,口腔内細菌のシャント感染経路を明らかにすると共に,前向きコホート研究により,透析患者の栄養状態と密接に関連する咀嚼機能や,遠隔感染源としての歯周疾患等の口腔内環境が,本疾患の病態悪化や感染症発症とどのように関連するかを明らかにすることを目的に研究を進めてきた. 2020年度は,新たな透析患者のサンプリングを行うために倫理関係の準備を進め,患者の残存歯,歯周状態等の口腔内状態を把握し,患者データをまとめた. 2021年度はこれらの患者を追跡して調査を行い,感染経路の同定も含め解析を進める予定であったが,コロナ窩で研究の進行に遅れが生じ,解析まで至っていない. 本研究の発展は,CKD患者や透析患者における歯科治療の重要性を提唱し,彼らの生命予後やQOLの改善に強く貢献できる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究協力病院の腎臓内科に通院中の慢性腎臓病患者の口腔内を調査し,情報収集が必要不可欠であるが,近年の新型コロナウイルス感染症の蔓延により,重症化のハイリスクである患者らへのウイルス感染を予防するため,診査ができず調査が中断している状態である.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も研究を継続して行い,透析患者の栄養状態と密接に関連する咀嚼機能や,遠隔感染源としての歯周疾患等の口腔内環境が,本疾患の病態悪化や感染症発症とどのように関連するかを明らかにする.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により当初計画時と異なり,データや解析結果が揃わず研究に遅れが生じたため,学会参加および研究成果の発表が困難となった. 今後は可能な範囲で研究データをまとめ,研究成果をオンラインの学会参加にて発表する予定である.
|