2020 Fiscal Year Annual Research Report
舌の運動機能障害により生じる行動障害に対する分子生物学的解明
Project/Area Number |
20K18641
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
竹田 洋輔 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (80812560)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知機能 / 舌下神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,舌運動機能の低下が学習・記憶能に及ぼす影響を分子生物学的に解明することを目指す。申請者らはこれまで歯の喪失と飼料性状を実験的に変化させたモデルマウスを用いて,学習・記憶能に及ぼす影響を検討し,歯の喪失および軟性飼料の摂取によって海馬錐体神経細胞数の減少および学習・記憶能の低下を引き起こすことが明らかとなり,咀嚼機能の保持が健康寿命の延伸に繋がることを示唆した。本研究では,舌の運動機能を低下させた動物を用いることで,個々の摂食・嚥下機能の低下が行動学的に影響を受けることを検討し,脳機能に与える影響を明らかにすることを目的とした。実験を進めると舌下神経切断モデルマウスの生存率が低かったため,ラットによる実験を行った。その結果から舌下神経を切断したラットは学習記憶能の低下を認めた。本研究の結果は,咀嚼刺激だけではなく,嚥下の影響も学習記憶能に影響を及ぼす可能性が示されている。高齢者の脳高次機能の低下に伴って嚥下機能も低下が生じてくるが,本研究の結果は,さらに嚥下障害が生じると負のスパイラルに陥り,認知機能の低下を加速させる可能性が明らかとなった。したがって,歯科医師は咀嚼機能の回復のみならず,嚥下機能にも目を配る必要があり,嚥下機能低下の速度を和らげることができるよう,患者に介入することが,身体的健康のみならず,脳機能の健康にも寄与できると考えられ,高齢者の健康寿命の延伸に力添えできる結果である。
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