2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K18652
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
田代 悠一郎 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (50823514)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハイドロキシアパタイト / PMMA / 義歯床用材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
配合材料として富士通研究所より販売されているハイドロキシアパタイト(以下,HA)を使用する。また、一般的に義歯床材料として使用されているPMMAを義歯材料として重合時にHAを配合する。配合するHAの配合率が0%のものを対照群,3%,6%,9%のものを実験群とし,各種試験材料を作製した。各試験材料はSEM,SPM,XPSで表面性状の評価を行った後,Live/Dead染色による蛍光顕微鏡観察により黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusのバイオフィルム形成量の評価を行った。また,試料表面でのタンパク質付着性の評価として精密分子天秤であるQCM法を利用した。各群のハイドロキシアパタイト含有QCMセンサを製作後、装置に装着し,ガラスセルにリン酸緩衝液を500μl入れ,25 ℃に設定した後,ウシ血清アルブミンとヒト血漿フィブロネクチンを滴下し,共振周波数の経時的変化を60分間観察した.測定は各3回ずつ行い,60分間後の計測値に対して一元配置分散分析により統計解析を行った.もし有意差を認めた場合,Bonferroniの多重比較によって検討を行った.なお,有意水準は5%未満とした.各種表面観察により,HA配合PMMA表面にアパタイト結晶が含有されていることが確認された。バイオフィルム形成量の評価では対照群と比較してHA配合3%,6%,9%の順にバイオフィルム形成量が少ないことが確認された.さらに,QCM法によるアパタイト含有QCMセンサ上でのアルブミン付着量の測定により対照群と比較してHA配合3%,6%,9%の順に少ないセンサ表面へのアルブミン付着量が優位に認められた。 以上より義歯床用PMMAレジンへのハイドロキシアパタイト添加によりタンパク質付着および細菌付着が抑制され,衛生的な新規義歯床用材料として期待できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種表面観察により,HA配合PMMA表面にアパタイト結晶が含有されていることが確認された。バイオフィルム形成量の評価では対照群と比較してHA配合3%,6%,9%の順にバイオフィルム形成量が少ないことが確認された.さらに,QCM法によるアパタイト含有QCMセンサ上でのアルブミン付着量の測定により対照群と比較してHA配合3%,6%,9%の順に少ないセンサ表面へのアルブミン付着量が優位に認められた。以上より義歯床用PMMAレジンへのハイドロキシアパタイト添加によりタンパク質付着および細菌付着が抑制され,衛生的な新規義歯床用材料として期待できることが示された.
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Strategy for Future Research Activity |
本材料を臨床応用すると想定した場合、HApを含有した義歯床用材料が細胞毒性を有していないこと、十分な機械的強度を有していることが必要である.この2実験を追加として行い、国際論文作成を行う.
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Causes of Carryover |
細胞毒性試験に必要な費用および東京都市大学で実施予定の物性試験用の試料作成費用が必要なため。
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