2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K18656
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島田 栄理遣 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00822115)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 口唇口蓋裂 / 脳磁図形 / 口腔感覚特性 / 電気刺激 / 体性感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇形成術・口蓋形成術により口唇口蓋裂患者の口腔形態を改善することで、口腔機能が良好になることについては報告されているが、口唇口蓋裂患者の口腔感覚が、術後どの程度回復しているか未だ不明な点が多い。口腔感覚は咀嚼や言語などの口腔機能と相関があるとされ、口腔感覚の改善が口腔機能の向上に繋がる可能性が高いと考えられる。本研究では口唇口蓋裂患者の口腔感覚を脳磁図計(Magnetoencephalography : MEG)で測定し、定量的・客観的に評価することにより口唇口蓋裂患者の口腔感覚特性を解明 することを目的としている。 これまでにMEGを用いて、健常者31名の口唇・口蓋、 片側性口唇口蓋裂患者15名の口唇・12名の口蓋に対して電極が付属したクリップあるいはマウスピースを装着させ、感覚閾値の測定並びに、電気刺激時の体性感覚誘導磁場(Somatosensory evoked magnetic fields : SEFs)の測定を行った。単一電流双極子モデルにて解析を行い、最も振幅が大きく、検出率の高い60ms付近に認められる波形を評価したところ、口唇口蓋裂患者群の上唇および口蓋(切歯乳頭部、非裂側部)電気刺激時の頂点潜時は、健常者群と比較して有意に延長した。これは、術後瘢痕が神経伝達経路に影響したものと考えられる。また、口唇口蓋裂患者群の方が健常者群よりも有意に感覚閾値が高かったにも関わらず、口蓋電気刺激時のSEFsの信号強度に有意差は認められなかった。この結果から感受性が低下した口蓋感覚受容器からの電気信号が中枢神経系で増幅される、感覚の補償機構が作用した可能性が示唆される。これら脳科学的発見について、英文誌に論文発表を行った。
|
Research Products
(4 results)