2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a new functional analysis method by simultaneous measurement of tongue, lips, and cheek pressures in patients with skeletal open bite
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20K18662
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大川 加奈子 (栗原加奈子) 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30844493)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 舌圧 / 口唇圧 / 頬圧 / 嚥下 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎顔面領域の形態的・機能的改善を目的とした顎変形症に対する外科的矯正治療では、術後の長期安定性に十分配慮して治療計画を立案することが必須である。また、矯正歯科治療の診断や治療方針立案時には、術後の長期経過およびQOL改善に大きく寄与する舌や口唇・頬部軟組織などの機能的要因についての詳細な検討が必要である。 骨格性開咬症は顎骨や歯列の著しい垂直的異常とともに、顎口腔機能の低下を示すことが多い。外科的矯正治療の開咬の再発率は約20%との報告もあり、その病態は顎変形症の中でもとりわけ難治性と考えられている。骨格性開咬症の嚥下機能は、顎骨の不調和に起因し健常者とは異なる軟組織運動様相を示すと考えられる。しかしながら、骨格性開咬症の嚥下機能を舌や口唇・頬部軟組織の運動という観点から同時に検討した定量的評価は少なく不明な点が多い。 本研究では、骨格性開咬症の嚥下時における舌および口腔周囲軟組織の機能的特徴と連動様相を解明することを目的に、舌圧と口唇・頬圧の同時測定法の確立、次に、骨格性開咬症における舌圧と口唇・頬圧の同時測定データの解析と顎顔面形態と嚥下機能の連動性との関連を検討することとした。 2022年度は、舌圧ならびに口唇・頬圧の発現と密接に関連すると推測される口蓋形態に着目し、嚥下時の舌圧および顎顔面筋群筋活動と口蓋形態との関係性について検索した。その結果、嚥下時の舌圧および顎顔面筋群筋活動は口蓋深さや口蓋幅径と関連することが示唆された。また、個性正常咬合者および顎変形症患者における嚥下時の舌圧と顎顔面筋群筋活動を同時測定データを解析し、嚥下時の特徴について検索した。これらの研究成果については、国際誌に投稿中、または投稿予定である。現在、舌圧と口唇・頬圧の同時測定への準備を進め、口唇・頬圧の測定部位や咬合を妨げない装置の設計について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度は、舌圧と口唇・頬圧の同時測定法を確立するため、個性正常咬合者を対象とし、舌圧と口唇・頬圧の同時測定を行い、健常者の嚥下運動の特徴を明らかにすることとしていた。また、骨格性開咬症における舌圧と口唇・頬圧の同時測定データの解析と顎顔面形態と嚥下機能の連動性との関連を検討することとしていた。しかしながら、口唇・頬圧測定部位の検討や咬合を妨げない装置の設計・作製に時間を要していること、COVID-19の感染拡大の影響、および実験機器の不具合により、測定が計画通りに行えない状況が続いた結果、当初の計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
個性正常咬合者のデータを集積し、舌圧と口唇・頬圧の同時測定法を確立する。次に、骨格性開咬症における舌圧と口唇・頬圧の同時測定、データ解析を行う。骨格性開咬症と健常者のデータを比較することで、骨格性開咬症の嚥下運動について特徴の抽出を行う。さらに、顎顔面形態の分析として、矯正歯科治療の診断のために中心咬合位で撮影された側面および正面頭部エックス線規格写真をトレースし、角度・距離計測を行う。また、上下顎歯列模型分析を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大の影響により、2020年度、2021年度、2022年度はデータ測定が計画通り行えず、研究計画が遅滞した。また、国内外を含めた移動制限や、当初発表予定としていた国内外の学会が中止あるいはハイブリッド開催となった。したがって、物品費、旅費、および人件費・謝金として計上していた経費を計画通り執行できない状況で、当該助成金が生じた。当該助成金は、おもに論文校正費や謝金ならびに物品費として執行することを検討している。
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