2020 Fiscal Year Research-status Report
肥満が助長する歯周病感染による認知機能障害における相互作用メカニズムの解明研究
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20K18669
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大植 香菜 広島大学, 病院(歯), 助教 (60760329)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯周病 / 肥満 / ミクログリア / 認知機能 / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は、末梢に慢性的な炎症を引き起こす疾患であり、肥満病態での歯周病感染によって末梢の炎症応答反応を増大させるなど、肥満と歯周病が相互作用することで炎症の増悪が引き起こされる。一方、肥満病態が歯周病感染による認知機能障害などの中枢神経障害を悪化させるという報告はない。 本研究では、肥満病態下での歯周病感染が相乗的に相互作用することで脳内炎症応答を増大させ、認知機能障害を引き起こすこととその機序を、高脂肪食を与えた歯周病モデルマウスを用いて解明することを目的に実験を行う。 2020年度の研究において、12週齢のC57BL/6Jマウスに脂肪分60%カロリー比高脂肪飼料を20週間与えた食餌性肥満マウスにPorphyromonas gingivalis (Pg) を10^8 CFU/100uL上顎臼歯部歯頚部へ週2回5週間塗布し、肥満-歯周病マウスを作成した。肥満-歯周病マウスの血中レプチンや炎症性サイトカイン(IL-1β, IL-6, TNF-α)をELISA法で測定し、肥満病態での歯周病感染が末梢における炎症応答検証した。また、Y字迷路試験(空間作業記憶の評価)および新奇物体認知試験(短期記憶の評価)を行い、Y字迷路試験では差がなかったものの、新奇物体認知試験で肥満-歯周病マウスが他の群と比較して有意に短期記憶能力の低下を認め、認知機能が低下していることがわかった。 また、マウスミクログリア細胞株のMG6を用いて、レプチン前処置によるPg-LPS刺激の炎症性サイトカイン遺伝子発現を評価し、レプチンがPg-LPSによるミクログリアの炎症反応を上昇させることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肥満歯周病マウス作成期間は当初の予定では8週間程度を予定していたが、認知機能行動解析をmiddle-agedマウス(35週齢程度)で行うことに変更したため、モデルマウス作成にやや時間を要することとなった。その他はほぼ計画通り進めることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度以降は、肥満歯周病マウスを用いて、認知機能に関連する脳領域である海馬の炎症応答が通常食-歯周病マウスよりも増大しているかどうかを炎症性サイトカインの遺伝子発現により評価する。また、肥満-歯周病マウスの海馬炎症応答亢進におけるミクログリアの関与を示すため、免疫組織化学染色により、海馬におけるIba1(活性化ミクログリアのマーカー)陽性細胞数や、Fluoro-Jade C(FJ:変性神経マーカー)陽性細胞数を解析する。 さらに、培養ミクログリア細胞でレプチンを前処置刺激した後、PgLPSで24時間刺激された培養ミクログリア細胞の培養上清を培養神経細胞 (初代培養神経細胞およびNeuro2A)に処置し、MTT assayによりレプチンにより神経細胞死が亢進されることを示す。次いで、同様の処置を行った培養神経細胞における小胞体ストレス関連遺伝子であるBiPの変化をリアルタイムPCR法で評価し、レプチン処置群においてBiP遺伝子発現が亢進しているかどうかみる。
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Causes of Carryover |
当該年度助成金が小額端数で残ったため、翌年度分助成金の物品費として割り当てる。
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