2021 Fiscal Year Research-status Report
肥満が助長する歯周病感染による認知機能障害における相互作用メカニズムの解明研究
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20K18669
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大植 香菜 広島大学, 病院(歯), 助教 (60760329)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肥満 / 歯周病 / 認知機能 / 神経炎症 / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は、末梢に慢性的な炎症を引き起こす疾患であり、肥満病態での歯周病感染によって末梢の炎症応答反応を増大させるなど、肥満と歯周病が相互作用することで炎症の増悪が引き起こされる。一方、肥満病態が歯周病感染による認知機能障害などの中枢神経障害を悪化させるという報告はない。 本研究では、肥満病態下での歯周病感染が相乗的に相互作用することで脳内炎症応答を増大させ、認知機能障害を引き起こすこととその機序を、高脂肪食を与えた歯周病モデルマウスを用いて解明することを目的に実験を行う。 2020年度の研究において、肥満‐歯周病モデルマウスを作成し、認知機能評価を行った。Y字迷路試験(空間作業記憶の評価)および新奇物体認知試験(短期記憶の評価)を行い、Y字迷路試験では差がなかったものの、新奇物体認知試験で肥満-歯周病マウスが他の群と比較して有意に短期記憶能力の低下を認め、認知機能が低下していることがわかった。また、マウスミクログリア細胞株のMG6を用いて、レプチン前処置によるPg-LPS刺激の炎症性サイトカイン遺伝子発現を評価し、レプチンがPg-LPSによるミクログリアの炎症反応を上昇させることが分かった。 2021年度の研究において、肥満‐歯周病モデルマウスの脳切片を用いて、海馬の免疫組織化学染色を行い、海馬でのミクログリアの細胞数の変化や形態学的な変化を確認した。高脂肪食群のマウス海馬でのミクログリア細胞数は通常食群と比較して有意に増加していた。ただし、高脂肪食・Pg(-)群と高脂肪食・Pg(+)群間でその数に有意な差は認めなかった。しかしながら、海馬でのミクログリア細胞の細胞体面積を比較したところ、高脂肪食・Pg(-)群と比較して、高脂肪食・Pg(+)群のミクログリア細胞体面積の有意な増大を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満歯周病マウス作成期間は当初の予定では8週間程度を予定していたが、認知機能行動解析をmiddle-agedマウス(35週齢程度)で行うことに変更したため、モデルマウス作成にやや時間を要することとなった。その他はほぼ計画通り進めることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、肥満歯周病マウスにおいてどうして海馬での炎症応答が上昇しているのかを明らかにする。肥満では脳血液関門であるBBBの破綻が起きることが分かっているので、肥満―歯周病モデルマウスにおいて、BBBの破綻が生じているかどうかを確認する。また、BBB破綻によるPgLPSなどの細菌由来因子の脳内への移行などがないか、免疫組織化学染色を用いて検討する。 以上をまとめて論文にて報告する。
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Causes of Carryover |
学術集会での発表が、現地開催ではなくオンライン開催となったため、旅費が不要となり、今年度の未使用額が生じた。次年度では、肥満―歯周病モデルマウスにおいて、BBBの破綻が生じているかどうかを確認するための、生化学的または組織学的な解析を行う。また、BBB破綻によるPgLPSなどの細菌由来因子の脳内への移行などがないか、免疫組織化学染色を用いて検討する。そのための試薬や実験消耗品の購入や、マウスの飼育費に次年度使用額を使用する。また、研究結果を学会で報告後、学術論文にて雑誌投稿を行うための費用とする。
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Research Products
(1 results)