2023 Fiscal Year Research-status Report
肥満が助長する歯周病感染による認知機能障害における相互作用メカニズムの解明研究
Project/Area Number |
20K18669
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大植 香菜 広島大学, 病院(歯), 助教 (60760329)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肥満 / 歯周病 / ミクログリア / 認知機能障害 / 認知症 / 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症は世界で最も罹患者数の多い神経疾患である.認知機能障害の発症メカニズムには脳内炎症の関与が指摘されているものの,有効な予防法や治療法は未だ確立されていない.このようななか,近年,肥満病態での歯周感染が,糖尿病や非アルコール性脂肪肝炎を増悪するなど,末梢組織での炎症応答を増幅させるという報告がなされている.本研究では,認知症リスクファクターとしての肥満病態と歯周感染の相互作用の神経科学的基盤を示し,末梢-中枢連関のメカニズムとミクログリアの意義を明らかにすることで,歯科的視点からの認知機能障害の予防や治療法の開発に資する新たな知見を示すことを目的とする. これまでの研究において,肥満‐歯周病モデルマウスを作成し,新奇物体認知試験で肥満―歯周病マウスが他の群と比較して有意に短期記憶能力の低下を認め,認知機能が低下していることがわかった.また,マウスミクログリア細胞株のMG6を用いて,レプチン前処置によるPg-LPS刺激の炎症性サイトカイン遺伝子発現を評価し,レプチンがPg-LPSによるミクログリアの炎症反応を上昇させることが分かった. 続いて,肥満‐歯周病モデルマウスの脳切片を用いて,海馬の免疫組織化学染色を行い,海馬でのミクログリアの細胞数の変化や形態学的な変化を確認した.高脂肪食群のマウス海馬ではミクログリア細胞数は通常食群と比較して有意に増加していた.また,高脂肪食・Pg(-)群と比較して,高脂肪食・Pg(+)群のミクログリア細胞体面積の有意な増大を認めた.さらに,肥満―歯周病モデルマウスの海馬組織サンプルを用いて,リアルタイムPCRにより解析したところ,高脂肪食・Pg(+)群のマウス海馬における炎症性サイトカインの遺伝子発現の有意な増加を認めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成果報告のための国際英文誌への論文投稿を行い、アクセプトを得ているが、まだ出版手続き等が進んでいないため。
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Strategy for Future Research Activity |
国際英文誌へ出版手続きを進める。
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Causes of Carryover |
成果報告のための国際英文誌への論文投稿を行い、アクセプトを得ているが、まだ出版手続き等が進んでおらず、次年度使用額が生じた。今後、出版費用として使用する。
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