2021 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAを介したシェーグレン症候群の新規治療開発に向けた基盤研究
Project/Area Number |
20K18671
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
緒方 謙一 九州大学, 大学病院, 助教 (30778858)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エクソソーム / 抗炎症作用 / マイクロRNA / シェーグレン症候群 / 歯髄幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、培養上清(CM)中に含まれるエクソソーム(Exo)が、細胞間コミュニケーションに重要な役割を担うことが報告されてる。Exoを投与することで抗炎症作用などの生物学的機能を持ち、治療効果をもたらすことが期待されている。今回われわれは、ヒト骨髄間葉系幹細胞エクソソーム(BMMSC-Exo)およびヒト歯髄幹細胞エクソソーム(DPSC-Exo)をシェーグレン症候群(SS)モデルマウスに投与し、治療効果の比較検討することを目的とした。 実験方法として、Exoは、ヒト骨髄間葉系幹細胞およびヒト歯髄幹細胞のCMから超遠心法を用いて回収し、ナノサイトを用いた粒径測定、透過型電子顕微鏡(TEM)、ウエスタンブロット(WB)による解析を行った。次に、Exo中のマイクロRNAの解析を行った。動物実験では、SSモデルとしてNODマウスを用いた。蛍光標識したExoを静脈内投与し、主要臓器への集積を確認した。14週メスのNODマウスにPBS、BMMSC-ExoまたはDPSC-Exoを1回投与(30 μg)し、4週後に刺激時唾液量の測定、顎下腺のH&E染色を行った。 結果としては、Exoは、ナノサイト、TEMおよびWBでは、球形で直径は約100 nm、CD9、CD81を発現していた。DPSC-Exoは、抗炎症に関与するマイクロRNA(has-let-7a-5p、has-let-7c-5p、hsa-miR-23a-3p)を高発現していた。動物実験では蛍光染色したExoが脾臓に集積していた。刺激時唾液分泌量は他群と比較してDPSC-Exo群が有意に増加しており、リンパ球浸潤はDPSC-Exo群では減少していた。 今後は、上記で同定したマイクロRNAの制御遺伝子やタンパク質を同定し、SSの新たな治療法の開発につなげたい。
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