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2020 Fiscal Year Research-status Report

炎症と骨形成のクロストーク機構の解明による顎骨癒合誘導法の開発

Research Project

Project/Area Number 20K18682
Research InstitutionTokai University

Principal Investigator

青木 淳也  東海大学, 医学部, 臨床助手 (20867030)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2022-03-31
Keywordsp53 / 間葉系幹細胞 / 骨組織修復
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、骨切り術後に生じる炎症および骨癒合を制御する分子を明らかにすることで、術後の顎骨癒合を効率的に促進する手法を開発する。そのため、制御分子により炎症抑制と骨形成促進を誘導し、患部の短期治癒を試みる。
令和2年度は、p53遺伝子欠損マウス(KO)から採取した骨芽細胞および間葉系細胞(MSCs)を用いて、骨欠損修復に関係する機能を評価した。はじめに、ボイデンチャンバーを用いて、間葉系細胞の細胞遊走能を検討した。チャンバーの膜を通過した細胞数は、KO MSCsの方が野生型マウス由来(WT)MSCsよりも、約9.5倍多かったことから、p53遺伝子がMSCsの細胞遊走能を抑制することが示された。また、XTT assayによって細胞増殖能を検討した結果、48時間後にWT MSCsよりもKO MSCsの方が高い値を示した。細胞周期を制御する遺伝子であるサイクリンA2, D1, およびE1の遺伝子発現においても、KO MSCsの方がWT MSCsよりも高い発現であった。細胞増殖能に対するp53の作用は、骨芽細胞でも同様な結果が得られた。さらに、MSCsの骨芽細胞分化能においても、KO MSCsは、骨芽細胞マーカーであるアルカリフォスファターゼ、オステリクス、およびオステオポンチンの発現が増加し、WT MSCsよりも有意に高い値を示した。そして、骨芽細胞を用いたスクラッチアッセイでは、p53発現が組織修復を阻害することが示された。
以上の結果から、骨欠損修復過程に関与する細胞遊走能、細胞増殖能、骨芽細胞分化能、および組織修復能において、p53発現は抑制的に働くことが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

令和2年度から、研究代表者の所属研究機関が変わり、研究の環境が大きく変わってしまった。そのため、ピペットなどの必要な器具を始め、多くの消耗品を揃える必要があった。さらに、新型コロナウイルスの影響があり、実験に使用する施設への入館が制限されたため、想定以上に実験が遅れている。令和3年度は、本課題申請時の所属研究機関に戻るため、予定通りに研究を遂行し、遅れを修復することができると考えている。

Strategy for Future Research Activity

リポ多糖(LPS)刺激によるp53の変動:マウスマクロファージ様細胞株RAW264にLPS刺激を加えた後、培地中の炎症性サイトカインをELISA法により定量、また、mRNAを抽出して、p53遺伝子発現をReal-time PCRにより解析する。
炎症反応におけるp53の役割:siRNAによりp53発現をノックダウンしたRAW264細胞に対して、LPS刺激を加え、ELISA法により炎症性サイトカイン濃度を測定する。
p53を介した炎症と骨形成のクロストークを解明:1) p53 KOマウスにおける損傷修復:p53 KOマウスに骨欠損を作製し、組織修復をマイクロCTで経時的に撮影し、骨形態計測学的に評価する。また、組織化学染色を行い、炎症と骨形成の状態を野生型マウスと比較・検討する。2) 骨欠損部位の微小環境変化:p53 KOマウスで炎症反応に違いが得られれば、遊走される細胞にも差異が生じると推測される。そこで、骨欠損を作製後の炎症期に、骨欠損部より細胞を採取し、Fluorescence-activated cell sorting (FACS)解析により、血球系細胞の割合を測定する。また、Sortingにより採取した細胞のマイクロアレイ解析を行う。さらに、骨欠損修復の成熟期の細胞を採取し、MSCsの割合をFACS解析により検討する。
本実験によって、骨欠損修復の微小環境をp53が制御することで、炎症と骨形成がクロストークすることを明らかにする。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスによって、研究施設への入室が制限されたため、全体的に研究が停滞することになり、研究の遅れが生じた。そのため、試薬の注文ができなかった。また、海外発注の試薬に関しては、取り寄せることができなかった。代替品で対応もしたが、それもできなかった試薬もあったため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、令和3年度の培養実験の消耗品の購入に充てる予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 間葉系幹細胞が発現するp53の骨欠損修復に対する役割2020

    • Author(s)
      永島利通、二宮 禎、青木淳也、桐原祐喜、上道一輝、三宅悠介、三宅希和、中島諄也、篠塚啓二、外木守雄
    • Organizer
      第65回日本口腔外科学会学術大会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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