2021 Fiscal Year Annual Research Report
炎症と骨形成のクロストーク機構の解明による顎骨癒合誘導法の開発
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20K18682
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青木 淳也 日本大学, 歯学部, 専修医 (20867030)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | p53 / 間葉系幹細胞 / 骨組織修復 / 骨芽細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度では、p53ノックアウト(KO)マウスを用いて、骨欠損修復能に対するp53の役割を検討した。p53KOマウスの大腿骨に直径1mmの骨欠損を作成し、マイクロCTを用いて経時的に観察すると、欠損7日目までは、p53KOマウスと野生型(WT)マウスの骨欠損部には徐々に骨が形成されたが、7日目以降、p53KOマウスの骨欠損部に著しく骨が再生され、21日目には完全に修復した。一方、21日目のWTマウスの骨修復は不完全であった。HE染色で解析すると、欠損5日目で、p53KOマウスの欠損部位は炎症性細胞が減少し、骨組織が形成され始めており、WTマウスよりも欠損の修復が早まっていた。次に、骨芽細胞分化の転写因子であるrunx2の発現を検索すると、欠損3日目では両マウスの骨欠損部にわずかに陽性細胞が認められた。欠損5日目になると、WTマウスでは陽性細胞数に著しい増減はみられなかったが、p53KOマウスでは陽性細胞の増加がみられた。また、runx2の下流にあるosterixは、3日目には発現していなかったが、5日目になると、WTマウスでわずかに陽性細胞が出現したのに対し、p53KOマウスでは多くの細胞にその発現がみられた。さらに、骨形成後のp53の作用を調べるために、欠損7日目のsclerostinの局在を検索すると、WTマウスの骨細胞にはsclerostinの強い発現がみられたが、p53KOマウスに再生された骨組織に発現はほとんど認められなかった。しかしながら、10日目になるとp53KOマウスにもsclerostinが発現した。 本研究によって、p53ノックアウトマウスの骨欠損部位は、骨芽細胞分化が促進されることに加え、sclerostinが抑制されることで、骨形成が進行しやすい環境にあることが示唆された。
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