2021 Fiscal Year Annual Research Report
A novel pathophysiological mechanism of dry mouth
Project/Area Number |
20K18689
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岸川 咲吏 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50781358)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ドライマウス / 唾液腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドライマウスは口腔乾燥を主症状とする疾患である。唾液には歯の再石灰化を促す物質や、殺菌・抗菌作用を持つ物質が含まれており、口腔を潤す役割を持つ。ドライマウスになると唾液が減少するため、歯周病やう蝕などの口腔状態の悪化や舌痛、さらには摂食・味覚・発音の障害になりやすい。ドライマウスの主因はストレスとされているが、実はこの時、唾液腺自体にも解剖学的な変化が起きている。肥満モデルマウスの唾液腺で起きている解剖学的変化が細胞の老化現象と類似していたことから、肥満によって細胞老化が亢進し、唾液腺の機能低下に繋がっているのではないかと考えた。 研究の結果、肥満モデルマウスの唾液腺では、舌下腺ではなく主に顎下腺内のアミラーゼ陽性、もしくはアクアポリン5陽性の腺房細胞(漿液性もしく粘液性細胞)で老化関連因子(SA-bgal)の発現が亢進していた。また肥満モデルマウスの顎下腺では老化マーカーであるPMLやp21、p53の発現が増加していた。以上のことから老化メカニズムにはPML-p53経路とPML-p21経路があることが予想された。PML-p53経路に関しては過去の報告にもある通り、PMLはp53の下流分子であり直接的なターゲット分子である。このことから、肥満による顎下腺の老化亢進にはp53を中心とした制御メカニズムが働いていると考えられる。一方で、PMLがp21のターゲット分子である報告はなく、新たな分子メカニズムである可能性が示唆された。
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