2023 Fiscal Year Research-status Report
基底細胞母斑症候群患者由来iPS細胞を用いた基底細胞癌モデルの開発とその病態解明
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20K18710
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
森田 奈那 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90733600)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 基底細胞母斑症候群 / iPS細胞 / Gorlin症候群 / Keratinocyte / UV |
Outline of Annual Research Achievements |
Hedgehog(Hh)経路の異常活性は多くの腫瘍で報告され、Hh経路は腫瘍形成に関わる重要な経路として知られている。その中の1つである基底細胞癌(BCC)の治療法は主として外科的切除である。特にHh受容体PTCH1の機能喪失変異で生じる基底細胞母斑症候群(BCNS)ではBCCの多発および高頻度な再発を生じる。Hh経路と発癌機序を詳しく解明しよりよい治療薬の開発ため、UV暴露により生じる腫瘍発生原因となるドライバー遺伝子の探索とアポトーシスの変化を解明することを目的とする。 2020度はBCNS患者より樹立したBCNS-iPSCsとヒトiPSCs(NiPS-B2株;RIKEN)を上皮細胞分化を実施した。BCNS-iPSCs分化細胞はHh経路のターゲット遺伝子はあるHh interaction protein の有意な増加を認め、Hh経路が活性化していることが判明した。BCNSiPSCs1株とNiPS-B2株の分化細胞にUV照射すると、BCNS-iPSCs分化細胞ではUV抵抗性を示した。さらに、UV照射にて生じたDNA損傷を免疫染色にて確認後、DNA修復経路における遺伝子発現を確認し、上記を論文報告した。 BCNSはBCCの他・歯原性角化嚢胞(OKC)や二分肋骨や大脳鎌の石灰化などの骨格異常などの多岐にわたる臨床的特徴を有する。責任遺伝子はPTCH1といわれているたが、その1つの遺伝子だけで本疾患の多岐にわたる臨床症状を引き起こすとは考えにくく、他の何らかの遺伝が関与していることが考えられる。BCNS-iPSCsを用いた腫瘍発生原因の検索と並行し、BCNS患者よりより提供を受けた検体よりゲノムDNAを抽出し、変異遺伝子を特定することで臨床症状との関連を検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も新規BCNS患者の新規受診はなく、新規症例のiPS細胞の樹立は叶わなかった。また過去に同意を得て採取した検体についても本年度前半で解析を終えることができたが、経過観察中のBCNS患者もOKCやBCCの再発なく、経過良好であるため検体採取が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在研究に理解頂き検体提供にご協力頂いた患者のうち、1名に顎骨嚢胞のは再発を疑う所見があり、現在厳重な経過観察を行っている。同患者には、再発が明らかになり、病変の摘出 切除が必要な場合には、検体提供に再度、同意を得ている。
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Causes of Carryover |
新規患者が受診せず研究活動は想定より実施できなかったため。 論文投稿の掲載費として予算計上していたが、掲載費の減額等があり想定より余剰金が発生してしまったため。
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