2020 Fiscal Year Research-status Report
PTH応答性の歯根膜幹細胞の同定と骨再生誘導への応用
Project/Area Number |
20K18711
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
川上 真奈 東京歯科大学, 歯学部, 非常勤歯科医師 (70550060)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯根膜細胞 / 副甲状腺ホルモン / 抜歯窩 / レプチン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、歯根膜に局在する幹細胞が骨芽細胞に分化して、抜歯窩の治癒に寄与することが報告された。さらに副甲状腺ホルモン(PTH)(1-34)が抜歯窩の石灰化を促進することが示唆された。しかし、この過程で活性化される幹細胞およびその作用機序に関しては不明である。本研究では、PTH(1-34)に応答して石灰化に寄与する歯根膜幹細胞(以下PTH応答性幹細胞)を同定し、石灰化の誘導メカニズムを解明する。これまで本採択研究において、歯根膜細胞幹細胞画分の探索に取り組んだ。その過程で、レプチン受容体(LepR)陽性細胞が歯根膜の根尖部に局在することを見出した。また、ほとんどの歯根膜細胞はRunx2を発現し、その一部はLepR陽性細胞とオーバーラップしていた。全体の歯根膜細胞における幹細胞能をin vitroにて評価した結果、LepR陽性および陰性の両方の細胞画分に幹細胞能が認められた。今後は、LepR陽性および陰性画分の抜歯窩の骨修復への寄与を調べ、in vivoにおける幹細胞能を明らかにする。さらに、これらの歯根膜幹細胞画分に対するPTH(1-34)の作用を調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄組織ではLepR陽性細胞が幹細胞であることが知られている。そこで、遺伝子改変マウス(LepR-cre;Rosa26-flox-stop-flox-tdTomato(R-26-Tomato))を用いて歯根膜を観察した。その結果、根尖部に局在したLepR陽性細胞が確認できた。これまで我々は、歯根膜細胞のほとんどがRunx2陽性であることを、Runx2-GFPマウスで確認している。LepR-cre;R-26-Tomato;Runx2-GFPマウスを作製しFACS解析を行った結果、歯根膜における一部のLepR陽性細胞がRunx2陽性であることが分かった。また、in vitro解析の結果、LepR陽性および陰性の歯根膜細胞画分に幹細胞能を見出している。以上より、歯根膜における幹細胞の探索は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)LepR陽性細胞における幹細胞マーカーの発現を調べる。幹細胞の指標は、これまで報告のあるWntの活性化およびGli1転写因子の発現とし、遺伝子改変マウスおよび免疫染色により調べる。 (2)LepR陽性および陰性画分における抜歯窩の骨修復への寄与を調べ、in vivoにおける幹細胞能を明らかにする。 (3)PTH(1-34)投与によるLepR陽性および陰性画分への作用を調べる。正常および抜歯環境下の両方について解析する。 (4)遺伝子改変マウス(LepR-cre;Rosa26-flox-stop-flox-diphteria toxin receptor)を用いてLepR陽性細胞を枯渇させ、それによる抜歯窩の骨修復への影響を調べる。
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Causes of Carryover |
本研究の遂行のために、マウス、実験器具および試薬購入に以下の研究費が必要である。 ・マウスの維持費用:購入、運搬、餌代、床敷代の費用 ・実験器具(マイクロピペット、ディスポーザブルピペットなど) ・試薬:分子生物学試薬(PCR用酵素、プライマー、リアルタイムPCR用試薬など)、FACS用試薬(シース液、調整用ビーズ、フィルター付試験管、細胞調整試薬)、抗体、免疫染色関連試薬(シグナル増強kit、切片作成用ナイフなど)、細胞培養試薬(培養皿、培地、血清など) 最新の学術情報を得るため、また成果を発表するために、旅費が必要となる。
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