2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K18724
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
武田 大介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80755637)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | がん悪液質 / 口腔がん / 経皮的炭酸ガス療法 / 骨格筋萎縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔がんの増大は経口摂取を妨げる要因となっており、手術までに時間を要する患者では栄養不良の進行が問題となっている。“がん悪液質”は筋肉量減少を主体に体組成が変化する状態であり、食欲不振や臓器機能不全をもたらすが、関与するサイトカインなどが判明されつつも、その治療法はいまだ明らかになっていない。われわれは、癌細胞のエネルギー代謝の変化や低酸素環境に着目し、低酸素環境改善による新規治療法を報告してきた。また、治療抵抗性に関わる癌幹細胞関連因子に着目し、低酸素環境や分化度との関係を報告してきた。本研究の目的は、これらの新規治療法の標的を“がん悪液質”へ適応し、体組成の変化を改善することにより、宿主の衰弱を防ぐとともに癌細胞へのエネルギー供給を阻止する方法を確立することである。 実験動物用体組成計を購入し、in vivoの検討で、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-3)を移植したヌードマウスの体組成分析を行った。その結果、非治療群では治療群(局所的炭酸ガス投与群)と比較して、腫瘍移植4週間後の除脂肪量(率)の有意な減少が認められた。 腫瘍移植4週間後に大腿四頭筋を摘出し、筋委縮関連因子として、ユビキチンリガーゼであるMuRF1(Muscle Ring Finger1)とMAFbx(Atrogin1)、ミトコンドリア脱共役タンパク質であるUCP2とUCP3の発現をReal-time PCRで検討した。その結果、非治療群と比較して治療群で、MuRf1・MAFbx・UCP2・UCP3の有意な発現低下が認められた。また、免疫組織化学染色標本で定量化を行い、非治療群と比較して治療群で、MuRf1・MAFbx・UCP2・UCP3の有意な発現低下が認められた。さらに、H-E染色標本で筋線維の断面積の定量化を行い、非治療群と比較して治療群では、断面積が有意に大きかったことが認められた。 以上の結果より、経皮的炭酸ガス投与はヒト口腔扁平上皮癌細胞株を移植した担癌動物モデルにおいて骨格筋萎縮を抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivoの研究で、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-3)を移植したヌードマウスの体組成分析を行い、担癌状態継続では非治療群の除脂肪量(率)が減少することが示された。また、in vivoで摘出した骨格筋(大腿四頭筋)で、治療の有無による筋委縮関連因子の発現をReal-time PCRや免疫組織化学染色で検討し、非治療群と比較して治療群では発現が低下することが示された。さらに、筋萎縮の程度をH-E染色で検討し、非治療群と比較して治療群では筋線維の断面積が大きかったことが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、口腔がん患者における体組成変化を検証中である。
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Causes of Carryover |
口腔がん患者における体組成解析を継続中のため、次年度予算への繰り越しとした。
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