2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌発育先進部における腫瘍微小環境の解明と治療への応用
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20K18732
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
清水 翔太 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90792127)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Tumor Budding / 腫瘍浸潤発育先進部 / 予防的頚部郭清術 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平上皮癌の腫瘍浸潤発育先進部における高強度のTumor Buddingは、局所的転移および予後不良を示し、OSCCの腫瘍 - 宿主境界に位置する癌細胞は、転移能の点でより攻撃的であると長い間考えられ、これらの観察結果をもとに、cT1,2N0M0 OSCCにおける局所転移を予測する腫瘍浸潤発育先進部における腫瘍浸潤パターンを同定するために、浸潤様式(YK分類)、Worst Pattern Of Invasion(WPOI)およびTumor Buddingをヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)染色切片、サイトケラチン免疫染色切片を用いて病理組織学的所見と3つの腫瘍浸潤パターンの関連性を検討した。 局所転移を伴うcT1,2N0M0 OSCC患者において5つ以上のTumor Buddingおよびグレード4Cまたは4Dの浸潤様式が頻繁に観察され、高強度のTumor Buddingが多変量解析における局所転移と有意な相関を示した。これらの結果を踏まえて、cT1,2N0 OSCC患者の局所転移を同定するため、2つの診断および治療戦略を提唱する。(1)Tumor Buddingをpancytokeratin免疫染色された生検および外科的に切除された組織切片における浸潤の様式を評価する。(2)5つ以上のTumor buddingおよびYK-4Cおよび4DのTumor Buddingと浸潤様式が存在する場合は一次手術の後、イメージング様式の使用の有無にかかわらず、短い間隔で注意深く観察を続け、後発転移の症状がある場合は、できるだけ早く頸部郭清を行う。さらに10個以上のTumor budding、およびYK-4Dの浸潤様式が観察された場合は、予防的頚部郭清術を実施することが重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年の研究計画を推進しながら順次、得られた所見と臨床病理学的所見との比較検討を行行っている。研究代表者が直接に患者管理と治療に当たり、生存者に関しては5年以上の生存期間を経た症例の臨床データ及び病理組織データは既に統計処理を出来る状態に整理しており、問題ないく遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画の大幅な変更もなく、予定通り研究は遂行できるものと考えます。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】コロナ禍で試薬の入手に支障が出た為。また学会参加費や旅費の支出ができなかった。 【次年度使用額の使用計画】口腔癌発育先進部における簇出の評価と各種抗体パネルの作成に対し簇出の評価は、癌細胞が単細胞化・遊離化するとヘマトキシリン・エオジン染色標本では識別が困難となるため、抗汎サイトケラチン抗体AE1/AE3による免疫組織化学染色標本により判定・評価する。また、腫瘍浸潤リンパ系細胞の識別には抗カッパ鎖/ミュー鎖抗体(形質細胞)、CD20(B細胞)、CD3 (T細胞)、CD4(ヘルパーT細胞)、CD8(細胞傷害性T細胞) 、FoxP3(抑制性T細胞)、PD-1陽性細胞の組織内分布と数的評価を行い、癌細胞の上皮-間葉移行の様相はE-カドヘリン、β-カテニン、間葉細胞への移行はWnt/β-カテニンシグナル経路の転写因子である Snail、Twist,Vimentin, N-カドヘリンなどの抗体が必要で、これらの抗体を購入にするのに使用する。
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