2022 Fiscal Year Research-status Report
新規開発した延髄スライス標本を用いた中枢神経系における嚥下活動の解析
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20K18746
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 敬秀 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (90870444)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電気生理学 / 嚥下 / 呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系の神経ネットワークについての研究が進み、さまざまな神経機構を解明するため世界規模で多くの研究グループが研究を行っている。しかしながら、その中でも生命維持のために重要な役割を持つ嚥下機能については、動物を用いた既存の実験系では解明できる範囲に限界があり、実験結果より推測された結論を述べるにとどまることが多く、中枢神経系レベルでのネットワークの解明が進んでいないのが現状である。中枢神経機構における嚥下活動パターン形成を司るセントラルパターンジェネレーター(嚥下CPG)の調節・修飾機構について、本研究では新たに確立した実験系である延髄スライス標本に対して電気生理学的・薬理学的手法を用いて解明することを目的としている。 大型動物を用いた実験は、嚥下活動の記録が視覚的にも把握しやすく、また筋活動記録も確実に行える一方で全身麻酔下などの影響により、得られたデータに対する影響も大きいと考えられた。その後、In situ標本を用いた実験が多く行われるようになったが、その標本も脊髄脳関門が維持されているほか、さまざまな種類の神経修飾回路も多く温存されていることから実験データの解釈に多様性を残していた。より温存させる中枢神経組織を減量させるため、我々の研究室ではen bloc標本を開発し研究を行なった。中枢神経系を含む必要最小限の器官を付属させ、それ以外は除去することでデータの信頼性が向上するが、それでも脳幹内器官への投与薬剤の浸透状態は不明であり、また確実な薬剤投与量を達成するために目的器官への局所微量投与を行っても循環器系が除去されているため、標本内の酸素飽和度の低下によるデーターの不安定性と実験操作性の制限に悩まされてきた。そこで今回、これらの標本の欠点を補うために嚥下活動を発現し得る最小の延髄スライス標本の作成を行い、研究を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験動物の供給不安定や薬剤入手時期の遅延などが起こっている。また、行動規制の影響もあり、研究代表者の研究施設での実験遂行が難しい状態があった。
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Strategy for Future Research Activity |
投与薬剤を限定して継続して実験を行う。その影響で結果考察は目標としているレベルまでは達せられない可能性があるが新たな知見は得られるため大きな方針変更は行わない予定である。
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Causes of Carryover |
実験動物の供給不足や薬剤入手遅延のため次年度使用額が生じた。今後、論文投稿や追加実験のため使用予定である。
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