2021 Fiscal Year Annual Research Report
脂質センサーGPR120の骨細胞を介する骨代謝および矯正学的歯の移動への影響
Project/Area Number |
20K18748
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岸川 明子 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (10827273)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / n-3系不飽和脂肪酸 / 骨細胞 / 矯正学的歯の移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、n-3系不飽和脂肪酸の受容体としてGPR120が同定され、肥満に関与することが明らかになった。GPR120刺激は骨芽細胞において促進的に働き、破骨細胞において抑制的に働くことで骨代謝に影響を与えることが報告されている。一方、骨細胞は、RANKLを発現するという報告があり、破骨細胞形成における重要性が注目されている。しかし、骨細胞におけるGPR120の働きと骨代謝への影響についてはまだ明らかになっていない。本研究では骨細胞におけるGPR120の骨代謝への影響を明らかにすることで、食事性の肥満に付随する骨代謝異常を解析し、矯正学的歯の移動へのGPR120の影響を検討する。野生型マウス頭蓋部にTNF-αおよびDHAを5日間注入しin vivoでの破骨細胞形成を行った。その結果、DHAはTNF-αによる破骨細胞形成を抑制した。この際、DHAの作用がGPR120を介しているものかどうかGPR120欠損マウスで同様に作用させたところ、変化がなかったことからDHAのTNF-αによる破骨細胞形成抑制は、GPR120を介して起こっていることを見出した。さらにマウス上顎切歯と左側第一臼歯間にNiTiクローズドコイルスプリングを装着し第一臼歯に牽引力を12日間付与し同時にDHAを局所投与し、歯の移動量および圧迫側破骨細胞形成を観察したところDHA無投与群と比較して抑制した。さらにGPR120欠損マウスではその効果がなくなった。このことからDHAはGPR120を介して矯正学的歯の移動の際、破骨細胞形成を抑制し、矯正学的歯の移動を抑制することがわかった。
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