2020 Fiscal Year Research-status Report
フォトアクチベーションを応用した変形性顎関節症治療法の探索と下顎頭吸収機序の解明
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20K18759
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
郡司 秀美 広島大学, 医系科学研究科(歯), 研究員 (80806688)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 半導体レーザー / 変形性顎関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヒト初代培養軟骨細胞 (NHAC-Kn) に誘導された炎症に対する高周波近赤外線半導体レーザー(NIRレーザー)照射の及ぼす影響について検討し、その成果を論文として発表した。 1. NHAC-Knに対するNIRレーザーの照射が炎症性サイトカインおよびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の発現へ及ぼす影響について検討を行った。培養NHAC-KnにIL-1βを添加し炎症を誘導し、NIRレーザー照射を行い、炎症性サイトカインの遺伝子発現について定量PCR法を用いて検討を行った。また、MMP-1およびMMP-3のタンパク質発現について、ウエスタンブロット法およびELISA法により検討した。その結果、IL-1βを添加したNHAC-Knに対してNIRレーザー照射を行うことにより炎症性サイトカインの遺伝子発現およびMMP-1、MMP-3のタンパク質発現は有意に抑制された。 2. NHAC-KnにおけるNF-κBのリン酸化はIL-1βの添加により有意に亢進したが、NIRレーザー照射により有意に抑制された。また、NF-κBのリン酸化にレーザー照射は有意な変化を及ぼさなかった。そして、IL-1βを添加することで、NF-κBの核内移行を認める細胞の割合は約40%増加し、NIRレーザーの照射によって約10%減少した。さらに、核内に移行したNF-κBの転写活性はIL-1βの添加により有意に亢進を認めたが、NIRレーザーの照射によって有意に抑制された。 以上の結果より、高周波近赤外線半導体レーザー照射はヒト培養軟骨細胞において、IL-1βの添加により誘導された炎症性サイトカインおよびマトリックスメタロプロテアーゼの発現を抑制することが明らかになった。これらのことから、初期の変形性顎関節症の炎症を整除しうる手段としての高周波近赤外線半導体レーザーの可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題においては、おおむね研究計画通りに進展しており、次年度も研究計画通りに研究を継続していく予定である。 予定していた学会発表については、新型コロナウイルスの蔓延により実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではin vitro実験を中心に行ってきており、今後は、in vivo実験を主に行っていく予定である。 (1)NIRレーザー照射がラット変形性顎関節症(TMJ-OA)モデルに及ぼす影響について検討する。 (2)ラットTMJ-OAモデルへのNIRレーザー照射時の疼痛緩和の検討を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に、二度の学会発表を予定していたが、新型コロナウイルスの蔓延により学会がオンライン開催および紙上開催となり、旅費および学会参加費の計上が不要となったため、未使用額が生じた。 次年度に学会発表を行うこととし、未使用額はその経費に充てることとした。
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Research Products
(1 results)